天才科学者の憂鬱

15-紹介(夢主) ページ16

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会場の入り口で私が緊張して立ち止まっていると、

「…大丈夫。深呼吸して？」

空助さんが耳許で囁く。

いや、余計ダメだわ！！！

さらに心臓が高鳴る。
なんとか深呼吸して心を落ち着けると、

「…じゃあ、行こうか」

そう言って空助さんが肘を曲げる。

私が固まっていると、

「…どうしたの？」

と聞かれた。

あっ、えっ、そうか、腕を組むのか！？

恐る恐る手を添える。


「…遠いよ、もっと近づいて」


腰を引き寄せられ、私はパニックになりながらも言われた通りにしっかりと腕を組み、会場へと進んだ。




広い……………

そして、人が多い。

どの人も綺麗に着飾っていて、本当に眩しい。
それに、当たり前だけれど、みんな外国の人だから…余計に物怖じしてしまう。

空助さんが私だけに聞こえる小さな声で、「大丈夫」と言った。
その一言だけで、少し緊張が解けた。

やがて、空助さんが話しかけられる。
英語だから、全然何言ってるかわかんない……。というか、空助さん、当たり前だけど英語ペラペラなんだな。そんなところも、かっこいいな……。

そんなことを思っていると、相手の人が私に目を向ける。

やばい、どうしよう…！

なんと言っていいかわからず慌てていると、空助さんが即座に私を紹介してくれた。

…あ、今、A、って……名前……

まぁ当たり前なんだけど！！
英語だから当たり前なんだけど、呼び捨てにされて、ドキッとしてしまった。

そして…

…………ん？待って、私の聞き間違えじゃなければ、今、フィアンセって言った？

フィアンセ？え？誰が？？？？

相手の方がニコニコして私の手を取り握手をする。とりあえず私も笑って応えたが、どういうことなんだ……！？！？！？

私は驚いて空助さんの方を見ると、

「いいから、話を合わせて」

って小声で言われた。

いや、何がいいんですか！？！？こっちは何も良くないんですけど…！！！


そのままたくさんの人に話しかけられたが、その全員に空助さんは私をフィアンセだと紹介していた。
話を合わせろと言われている手前、否定することも出来ないし、英語はわかんないし……私にはとりあえずニコニコしてその場をやり過ごすことしか出来なかった。



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