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ふと見上げると、
前にどこかで見たような赤い顔の岸くんと目が合って、
『……きしくんかーわいっ』
さらに赤くする岸くんが面白くて、いつかの誰かにしたみたいにほっぺをツンツンする。
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「っA!!!!!!!」
大きな声で呼ばれた自分の名前にビクッとして、振り向くと凄い形相の廉が立っていた。
見たことない廉の顔に流石の私も少し酔いが冷めて、
廉「……迷惑かかるから、帰るで」
廉に立たされ、されるがまま私は店を出た。
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おぼつかない足取りで廉に支えられながら車に乗り込む。
廉「お前、酔い過ぎ」
『…ごめん』
廉「迷惑かけたんだから、明日岸に謝っとけよ」
『…うん』
隣から、はぁぁと重めのため息が聞こえた。
廉「今日は歓迎会で他の人が居たから良かったけど
男と二人きりとかだったらお前、お持ち帰りされてたで?」
『………、』
廉「……この状況だって危機感持てや」
少し醒めたとは言え未だにふわふわする頭で必死に言葉を紡ぐ。
『?……廉、お持ち帰りするの?』
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廉「……………するって、言ったら?」
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廉「いや、なんでもない、忘れて」
暖かい暖房と程よく揺れる車が心地よくて
私は眠気に耐えきれず静かに目を閉じた。
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廉「家、着いたで」
『……ぅん、』
廉「悪いけど鞄、漁るからな」
うっすら開けた目の隙間から何かを探す廉の姿がぼんやりと見える。
……鍵探してんのかな
ゴソゴソと私の鞄を漁る廉の手元を見ながら1人でツッコミを入れる。
あぁ違うよ、右のポケット……
そう、そこの、って、それ違う違う!!
ぼやけて見える廉に頭の中で鍵の在処を伝える。
うーん…とゴソゴソと探し続ける廉
廉「鍵、無いんやけど」
え、鍵無くした……?
どっかで落としたのかな……
どこだろう……
でも私はそれどころじゃなくて、
限界だった眠気に再度身を委ねた。
.
廉「…悪いけど俺んちで我慢してな」
彼は寝息を立てる私にそう呟いて
車のエンジンをかけた。
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はる - とても面白くて一気読みしていました!続きが気になるので、宜しければパスワードを教えて頂きたいです。よろしくお願いいたします! (2021年6月24日 1時) (レス) id: 8cb2e2585a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 『殻を知らない蛇は』を読んで、とても面白いなと思ったのでこちらの作品も読ませていただきました!続きが気になるのでパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします! (2021年6月22日 21時) (レス) id: 22c18f65d8 (このIDを非表示/違反報告)
sweetlarme(プロフ) - Rieさんのお話どんどん続きが気になって一気読みしちゃいます。続きが読みたいので、良ければパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2021年6月3日 23時) (レス) id: cc4072ce2b (このIDを非表示/違反報告)
かに(プロフ) - パスワード教えていただきたいです! (2021年6月2日 19時) (レス) id: 0501681899 (このIDを非表示/違反報告)
An(プロフ) - Rieさんの世界感とっても好きです。宜しければパスワード教えて頂きたいです。続きがとても気になってます、、 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 9f0db7920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rie | 作成日時:2020年1月17日 0時