. ページ29
.
____ﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟｯ……
いつもとは違うアラーム音が聞こえる。
.
____ﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟｯ……
『んー…』
中々止まらないアラーム音に苛ついて、音の鳴る方へ手を伸ばした。
だけど私の手に触れたのはスマホのように硬くなくて、
むしろ人肌のような柔らかな手触りでうっすらと目を開ける。
『わっ、』
確かに昨日ソファで寝たはずなのに、何故か私はベッドで岸くんと横になっていた。
そしてやっぱりアラーム音の発信源は彼のスマホで、画面に映る停止のボタンをタップする。
.
アラームが鳴っても尚、寝ている彼の寝息だけが響く。
勝手に彼のスマホで時間を確認して、
朝ご飯を作ろうとベッドから出ようとするが、
私の体は彼の腕で後ろから強くホールドされていて出られそうにない。
彼の腕を解こうと手を掴むと、逆に掴まれる私の手。
『………起きてるの？』
.
岸「…おはよ、ございます」
何を思ったのか彼はさらに抱きしめる力を強めた。
『っ、』
首に彼の息がかかる。
.
岸「………俺、Aさんが好きです」
わざとなのかすぐ耳元で話すから少しビクッとなる。
.
『っ、……ありがと、』
彼の本気なのか分からない告白を軽く流し、
一瞬緩まった手を素早く退かしてベッドから出た。
洗面台に立ち、鏡に写った自分を見る。
.
.
岸「………俺、本気です」
声が聞こえて鏡越しに彼を見れば、目が合った。
.
『……ごめんね』
彼と付き合ったら、きっと大切にしてくれるんだろうな。
弱くて臆病な私は未だに昔のことを引きずっている。
.
_______もう、恋愛はしないって決めたの。
.
.
勿論、彼は違うって分かってるけど…、
.
『……っ、』
.
熱のこもった目でこちらを見つめる彼から逃げるようにして、私は顔に水を当てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる - とても面白くて一気読みしていました！続きが気になるので、宜しければパスワードを教えて頂きたいです。よろしくお願いいたします！ (2021年6月24日 1時) (
レス) id: 8cb2e2585a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 『殻を知らない蛇は』を読んで、とても面白いなと思ったのでこちらの作品も読ませていただきました！続きが気になるのでパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします！ (2021年6月22日 21時) (レス) id: 22c18f65d8 (このIDを非表示/違反報告)
sweetlarme(プロフ) - Rieさんのお話どんどん続きが気になって一気読みしちゃいます。続きが読みたいので、良ければパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2021年6月3日 23時) (レス) id: cc4072ce2b (このIDを非表示/違反報告)
かに(プロフ) - パスワード教えていただきたいです！ (2021年6月2日 19時) (レス) id: 0501681899 (このIDを非表示/違反報告)
An(プロフ) - Rieさんの世界感とっても好きです。宜しければパスワード教えて頂きたいです。続きがとても気になってます、、 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 9f0db7920c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Rie
| 作成日時：2020年1月17日 0時
