寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ9)

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「なんや、めめ好きになったら一直線！みたいなタイプじゃなかったんか？」

「いやそうだけどさ...相手が相手だとちょっとこう...出方がわかんないというか...」

クルクルとお皿の端でフォークを回し、絡めとったパスタを口に運ぶ。俺が好きな、ミートソースの味がした。

「ん〜...そうかぁ...」

康二もフーフーと何度か息を吹いてからスプーンに乗った湯気の立つドリアを1口。熱かったのか眉間に皺を寄せた。

「まぁとりあえず連絡は取ってみるよ。いわもとさん何好きなんだろ...」

「それを聞いたらええやん笑あつっ！」

確かにそれはごもっとも。水を康二の方に寄せる。

「まぁ頑張ってみるわ。」

「おーおーそうし。困ったらいつでも言ってな。」

康二は親指を立てながら焦るように水を飲み込んだ。

康二と店を出て帰りにスーパーに寄りたいと言った俺に嫌な顔ひとつすることなく康二は頷き、一緒に行くと言ってついてきてくれた。

俺は今アパートに一人暮らしなので自分でご飯を作らないといけないのだけれど、出来合いのものについつい手が伸びそうになる。

「おっ、今日は何作るん？」

「いや今考えてる。」

「の割にはぽんぽんカゴに入れとんな。」

カゴをのぞき込む康二の頭を押し返した。
何となく安いのを入れて家で何とかしようとするのが俺のやり方なのでいつもメニューは決まってない。魚か肉かとかすら頭の中にはないのでメインがどこに行ったのか分からない日もある。

結局役に立つのは食えればなんでもいい理論。

「よし、まぁこんなもんかな。」

「えらいようさんこうたな。」

「水曜の午後が1番安いからさ、買いだめ。」

「なるほどね〜。」

康二は時々魚やら肉やらを子供のように指でつつきながら止まらない口でずっと喋っていた。聞けばスーパーにはあまり頻繁には来ないらしく、新鮮なのだとか。お坊ちゃんかよ。

会計を済まそうとレジに足を向けるとふと、どこかで見た事のある背中を見た。

綺麗に刈り上げられた後ろと少しくせっ毛な髪に、

「ひだり、耳に...ぴあす....」

ぼそりと呟いたのを康二が聞いていたのか、俺が見ている方向に目を凝らして声を出した。

「お！あれいわもと先輩やん！」

「っちょ声でか...！」

口を塞ごうとしたのも遅く、彼はこちらを振り向いた。あんなことがあった手前、顔を合わすのが何となく気まずく、康二の腕を引いて今度こそレジに向かう。
色んな緊張で背中に冷や汗が伝った。