寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ6)

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明らかにワントーン低い声でそう言われれば俺も思わず1歩下がる。

怯んでどうするんだよ、いつもの俺はどこ言ったんだ...と、心の中でボソボソと呟きながらも手の前で手のひらを横に振った。

「あぁいや全然嫌だったら...」

「...今携帯出せんの。」

その言葉を飲み込むのに5秒はかかった。

逃さないようにハッとなって返事をする。

「あっはい！」

「んじゃこれ読み込んで。」

彼が俺の目の前に出したのはメールのバーコード。

「....あの、いいんですか...?」

「んだよ嫌なのかよ。」

「いやめちゃくちゃ嬉しいっす、じゃなくて....いいのかなって...」

「...俺も、お前のこと気になってたからいいよ。てかお前こそなんで1回会っただけの野郎の連絡先なんて知りてーんだよ。」

「...なんか俺も気になったので。」

正直にそういえば彼は目を細めて少し笑った。

「お前面白いな笑それだけで普通あんな教室まで走ってこねぇだろ。」

「うわ見てたんすか...恥ず...」

「なんだよいいじゃん。恥ずとか可愛いなお前笑」

その言葉に思わず目を見張った。

今、俺の事可愛いって言ったかこの人...？

「...え？」

「...あ、いやその...」

さっきの威圧はどこへやら、急にどもり始めた彼に俺の体温はジワジワ上昇していく。

「っあ、連絡先ありがとうございました！じゃっ...！！」

その場から飛び退くようにして俺は階段に向かって走り出した。

顔に熱がどんどん集まっていって下を向いて走る。

きっと俺の耳は今真っ赤だ。

「えっめめ待って！？お邪魔しました！！！めめのことよろしくお願いします！」

「え、あ....は...？」

校門から出たところで膝に手を付き、息を整える。

元々運動はできる方なので息はすぐに整ったけど、熱くなった頬の熱は冷めなかった。

さっきのいわもとさんの言葉が何度も頭で無意識に再生される。

そしてまた、体が熱くなる。

こんなの理由はひとつしか思い浮かばない。

この浮ついたような、照れくさいような、でも愛しいようなこの感情に名前なんて、とうの昔からついている。

「...俺、完全にいわもとさんに恋してんじゃん...」

とりあえずこの熱を冷まそうと両手を頬に当てる。

「おーいめめー！！待ってくれー！！！」

声のするほうを振り向けば、息を荒くしながら康二がこちらに向かって走ってきていた。

そういえばさっき完全に康二の存在を忘れ、急に走り出してしまったことを思い出す。