寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ33)

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康二の背に隠れて一つ一つ写真をまた見ていると、ふと、気になるものがあった。

沢山取られた中の1枚。

そのたった1枚に引かれるように手を伸ばした先には自分の顔が映っていて、でも、自分じゃないみたいだった。

これがいつのものか聞こうと思っても康二は前を向いてしまっているので聞くことは叶わないし、そもそも、聞くべき時のないのかもしれないとも思った。

教室で、今のこの席でおそらく前にいる康二が振り向いて撮った写真。俺は窓の方を見つめていて、何かに気を取られている。

その瞳は、誰かを思う瞳だった。

けどその写真からは、自分以外の思いが込められているような気がして落ち着かなかった。

放課後のチャイムが鳴る。

結局その写真については聞けないまま、前の席にいる康二はいつの間にか帰る支度をしている。

お昼の時間も、休み時間も、授業もあったはずなのに、全て誰かに引き抜かれたように記憶から抜け落ちていた。

話していた内容なんてこれっぽっちも覚えてない。

彼は写真について気づいてるんだろうか。

かと言ってこれが勘違いだったら恥ずかしいどころじゃない、ただの最低だ。そもそも、本当だったとしても俺は最低なんだけれど。

「.....康二。」

ただ名前だけを呼べば、いつものように優しい笑顔で振り返った。

その顔に、ぐっと心が重くなる。

あぁ、俺はこんな人を、悲しませて、苦しませていたんだろうか。

それも全部、勘違いだったなら。

mm「────あのさ...」

kj「ん？」

開いた口をそっと閉じて、ゆっくり首を振った。

mm「...なんでもない。今日も一緒に帰ろうぜ。」

kj「？ええよ？」

上手く、笑えたかな。

“上手く笑う”彼を見て自分もそうしないと、そう思い込むことにした。

やっぱり今日は休むべきだった。

どこまでも逃げたい俺はそんなことばかり考えていた。

朝より疲れているのに、体温は上がるどころか冷えていた。

それから1ヶ月。

俺が岩本くんと会話をすることは1度もなかった。

　

放課後、バイトのラストて片付けをしていればもう店の前にはCLOSEの看板を置いているのに、カランカランと店のドアが開く音がした。

見てみればそこに立っていたのはいつもより暗い顔をした康二だった。

普段と違う雰囲気に戸惑っていると、片付けはいいから席で話しておいでと店長が言ってくれた。