寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ32)

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震え始めた手に康二が何かを握らしてくれた。

分厚くて、茶色い封筒。中身はすごく重くてどこか暖かみを感じた。

mm「っなに、これ...？」

kj「いーからみてみ。ええもん入っとるよ。あ、金やないで？」

ケラケラと笑う康二はもういつも通りで、封筒ごと俺の方に手をぐっと押してくる。

mm「ほらはよみてって。結構自信作達揃えてんねんで。」

にこやかに笑う康二の顔にはどこか不安そうな、こちらを伺うような仕草が見えたけれど、そもそも何を言ってるのかいまいちよくわからなかったけど、封筒をしっかり受けとった俺はその中身をゆっくり覗いた。

mm「──────写真.....？」

分厚くて茶色い封筒の中にはこれでもかと写真が詰め込まれていた。詰め込まれてもなお、写真からはどこか几帳面で真面目な康二らしい丁寧さがうかがえる。

mm「....見ていい？」

kj「...！もちろん！見て見て！」

さっきの不安さはどこへやら。ぱあっと顔を明るくした彼は嬉しそうな顔をして早く早くと催促する。さながら子供のような素振りに思わず笑うとすぐに不機嫌な顔になった。

kj「...何わろてんねん。」

mm「ごめんって笑」

ぷくりと頬をふくらませた康二はぷいっとそっぽをむいた。これはしばらく許してもらえなさそうかな...そんな康二を他所に写真を1部丁寧に取りだして袋から出す。ガサガサと音が聞こえたのか、そっぽを向く康二がチラチラとこちらを見ているのを見るとまた吹き出しそうになったけど、これ以上は怒られてしまいそうなので写真に集中することにした。

たまたま取ったところが良かったのか、1枚目は写真を撮らせてくれと行った日の写真。つまり、康二を初めてレンズ越しに見た日の写真だった。

2枚目はその次の日。

写真の右下に丁寧に日付が書かれていて、それを追っていけば驚くことに康二は毎日俺の写真を撮っていた。

なんにもない教室での風景。

外の景色。

二人で食べに行ったファミレス。

どれもキラキラしていて、まるで本当に今息をしていて動いてるみたいな写真たちに息を飲んだ。

───────俺な、プロのカメラマンになりたいねん！

いつの日かそんな事を言った康二を思い出した。

今なら彼は何にでもなれるんじゃないか。

そう思わせるぐらいの何かがこの写真たちにはあった。

食い入るように写真をどんどん見続けているといつの間にかチャイムが鳴って、康二はHRかと不満そうに前を向いた。