寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ26)

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頬と手の熱が岩本くんの手に伝わって、じんわりと暖かくなっていく。とけて、一緒になるように。体温が同じになった。

岩本くんは俺を見てびっくりした顔をしていた。

迷惑かな、でもこの人はそんな事言わない優しい人だから。

だから今だけは甘えてしまいたいと思った。

拒絶されたら、もう立ち直れない気はするけど。

「おね、がいです...いかないで...」

せっかく拭ってもらったのに、涙がまたこぼれた。

「...大丈夫、絶対どこにも行かない。だから、安心しろ。」

そんな言葉がじんわりと心に染みて、安心と、好きとが一気に溢れ出す。

やっぱり好きだ。目尻に沢山しわを載せて笑うとこも、体がしっかりしてるとこも、以外に甘いのが好きで、辛いのが嫌い。そして可愛いものが好きで、男気と根性があって、真面目で、でも案外すぐ拗ねて、でも結局全部許しちゃうくらい優しくて、暖かくて、かっこよくて。

そんなとこが全部全部大好きだ。

この気持ちが全部伝わったらいいのに、この関係が終わることに、ご飯が一緒に食べれなくなることに1人で怯えて、きっと気持ちなんか伝えられないんだ。

男同士だから、もういっその事友達でいい。これ以上の幸せなんて望んでいないから、一緒にいれるだけでいい。それで岩本くんに好きな人が出来て、幸せになったらその時こそ諦めるんだ。

だから、だからそれまでは......

まだ、好きでいさせて欲しい。

「ありがとう、ございます...」

絞り出した声は、彼にどんな風に聞こえただろうか。全部熱のせいにしてくれるかな。

彼は、優しいから。

「っはは、泣くなって笑」

優しく、割れ物でも扱うように優しく袖で涙を拭ってくれた。

そんな優しさに胸が苦しくなった。

怖い夢を見る俺のためにと、俺と岩本くんはその夜同じベッドに身を寄せあって眠った。

ドキドキと高鳴る心臓がどうかあなたに聞こえていませんように。

岩本くんが背中をポンポンと叩いてくれて、子供みたいだけど、心地の良いリズムに誘われて俺はいつの間にか眠りについていた。

その夜は何故か夢は見ず、代わりに風邪のせいで呼吸が苦しくなって何度か起きたけど、俺が起きる度に岩本くんが待っていたかのように起きて頭と背中を撫でてくれた。その度に何度でも、おやすみと俺に言って。

俺はそれが合図かのように眠りについた。

朝目が覚めればもう隣に彼はいなかった。

夢かとも思ったけど、代わりにベッドには少し体温が残されていた。