寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ16)

今日:7 hit、昨日:24 hit、合計:56,902 hit

#16 ページ16

「っくしゅ！っはー...あれ....何してたんだっけ...俺...」

くしゃみと共に目を開けば、俺は玄関にうずくまっていた。ゆかが濡れていて、なんだかぼーっとする。

あたりはうっすらと明るくて、家の電気が着いていないことに気がついた。

そうか、あれから雨が本降りになって、でも走る気力もないから歩いて帰ってきてそれで力尽きたのか。

全身ずぶ濡れで、まだ乾いていない。

鉛のように重たい体を起こしてふろ場に向かった。流石にこのままはやばい。そう思ったのにボタンを外す手が上手く動かなくて全部の動きがゆっくりになる。シャワーを浴びて少し体を温めると手足の先がじわじわと痛くなり、思わず顔を顰めた。よっぽど冷えていたんだろう。

緩慢な動きで風呂を済ませ、服を着て髪の毛を乾かし終え風呂場から出れば、リビングの方から明るい光が差し込んでいた。

時計は7時を指していて、もういつもなら起きている時間。

後ろから洗濯機が稼働している音が聞こえて、あと30分もすれば乾燥も終わってるだろう。

「....はぁ。」

重たい体を引き摺ってキッチンに立った。

とりあえず冷凍してあるご飯をラップのままレンチンして、お茶漬けの元をだしてポットの中に水を入れてスイッチを押した。

ふと手元にスマホがないことに気がついてふろ場に戻る。ずぶ濡れのカバンの中身はほとんど濡れていなくて、とりあえず出した荷物がふろ場に散乱していた。その中からスマホを取り出してリビングに戻る。

それと同時に温め終わった音がふたつ聞こえた。

熱いご飯を皿に移して、素とお湯を注いだ。引き出しからスプーンを取り出してソファに腰かける。机は自分の勉強用のがあると、リビングには大きな机を置かずソファとその前に小さな机を置いている。

ちなみにこのソファは店長からのプレゼントでもらったもの。この広い賃貸も店長の知り合いの大家さんに言って安くしてもらってる。

本当に、感謝しかない。昨日のことちゃんと謝らないとな。

灰色に黒いラインが入ってる柔らかいソファを撫でた。店長曰くこのソファはなんか、俺っぽいらしい。

「...いただきます。」

あんまり食欲はないけど、昨日の夜から何も食べてないからご飯を抜くわけにもいかない。俺はちまちまと食べ始めた。

1口、2口と食べ進めるけど、一向に減らないし喉に通らない。ゴクリと飲み込んではみたものの、それはすぐ不快感に変わった。食べなきゃ体力は到底持たない。

...でも...

俺は箸を置いた。