寂しくなるのは【iw×mm】 (ページ11)

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ちなみにスーパーを出てからというもの、二人の間に会話はない。

隣にいるだけでいっぱいいっぱいの俺からしたら有難いけど、相手がいるからそういう訳にもいかない。これで嫌われたらもう終わりだ...

話しかけようかと考えていると、隣から吹き出すような笑い声が聞こえた。

「え...」

「っひひっ、ふっ、ごめ...笑」

彼はひとしきり小さな声で目尻をクシャクシャにしながら笑った。

「なんかさっきから話しかけようとしてくれてんのか一生懸命なのが可愛くて...笑」

「んなっ...！！」

バカにしてたのかこの人！？

それと同時に見られていたことと、可愛いとまた言われたことに顔がカッと赤くなる。

「〜っ！もうやめてくださいよっ...！」

片手に学校のカバン、片手に袋を持っているせいで顔を隠すことすら出来ず、俺は頭を垂れた。

もう最悪だ、恥ずかしすぎる...

俺も男だからどっちかって言うとかっこいいと思われたいんだけど...

「ごめんごめん笑」

「...絶対思ってないでしょ...」

自分でも子供っぽいとは思うけど、プクりとほほを膨らましそっぽを向いた。

「ほんとに思ってるって、悪かった。だから機嫌治せよ、な...？」

いわもとさんは俺が下げていた顔を覗き込むようにしてくるので俺は思わず後ろに飛び退いた。

「ちょっ、近いですって...！」

「ビビりすぎだろ笑ほら早く行くぞ。」

余裕そうな笑顔を見せたあと、スタスタと先を歩いていくいわもとさんの背中をみて仕方なく足を進め横に並んだ。

しばらくまた無言の時間が続く。

もうすぐ春が終わるとは言えどまだ夜は少し冷える。

今日は鍋だな...

頭で家にある食材を並べて、何を入れようかと考えていると隣でピタリと動きが止まったのがわかった。いわもとさんは立ち止まり何かを考えているようだった。

「...いわもとさん？」

「...今日さ。」

柔らかな風が吹く。

「...うちで飯食う？」

鍵を持った彼を見て、彼が持つ袋に手を伸ばした。

「持ちますよ。」

「あ、悪い。ありがとう。」

ガチャりと開かれたドアからは、やっぱり自分の家とは違う匂いがした。

「ちょっと汚いけど。」

「...お邪魔します...」

俺が持っていた袋を預かったいわもとさんはどうぞーと言いながら電気をつけつつ1番奥の部屋へと入っていった。ドアは開けっ放しなのでおそらくそこがリビングなんだろう。

俺は彼が閉め忘れた玄関の鍵を震える手でカチャリと閉めた。