秋、晴れ。僕に風が吹いた。 (ページ12)

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episode12 ページ12

目が合った…気がする

光がないからどこを見ているのか分からない

時間が止まったみたいだった

妙に長く感じた

バタッと音がした

伊野尾が倒れた

「いの…お？ちょっ！」

「伊野尾～」

いつの間にか二宮くんが入っていた

「う～ん寝かせた方がよさそう」

「俺、運びますね」

軽かった

持ち上げる事なんてなかなかないから

最近痩せた？とは思ってたけれど

「伊野尾…無理すんなよ」

ふわふわの髪を撫でる

苦しそうな伊野尾を見るのが苦しくて

俺は部屋を出た

「肉じゃが食べていいの？」

「え…いいですけど」

「じゃ一緒に食べようぜ」

「いただきま～す」

二宮くんは普通に食べていく

俺は何となく食べる気になれなかった

「伊野尾のやつよくあるから」

「そう…なんですか？」

「熱が出た日に起こりやすいから気をつけてね」

「はい」

「薮が支えてくれたら俺も楽だし分からないところあったら教えてくし、よろしく」

「はい！」