cross

4(伍代side) ページ5

　









　
「…まさかケガしてくるとはね。
　痛そう、大丈夫？」

　

　
「…大したことねーよ。」
　

　
　





傷に当たらないよう
優しく頬に触れる小さな手を
自分の手で包み込む。

　
　




「それより、親のブランド、新作でたんだろ？」

　

　
　
「そうなの！今回はディテールにこだわったんだって！
　直樹くんに似合いそうなのあってね…」


　
　


　
　
嬉しそうに見せてきたAのスマホをのぞいていると、
　
　
　
　
　
　
　


　

　
島崎「おい、難波！！」
　
　
　

　
聞き覚えのある名前が聞こえて、顔を上げた。
　
　
　
　

　
「えっ、今難波って…」
　

　

　
　
もちろんAも反応して、後ろを振り返った。
　

俺も振り返ると
白百合の制服を着たやつと目が合った。

　
　
　
　



「…見ーつけた。白百合とはなぁ。
　だったらいつでも遊べんな。」
　

　
　
　
　


焦った様子で立ち去った、難波剛。
　
　
　
　
　

　
　


　
　
「…ねぇ、直樹くん。今のって…」
　
　


「難波剛。Aもよく知ってるだろ。」

　

「そうだけど、なんで白百合に…」
　

　
　

　
　
混乱しているAの腰を引き寄せる。
　
　

　
　
　


「A、最近市松の奴等が騒いでる特服が難波だ。
　あいつにやられてかなり気が立ってる。
　絡まれないように気をつけろよ。」
　
　



「そういうことか…。私は大丈夫だよ！
　直樹くんこそ気をつけてね。
　あの先輩たち、弱いくせに偉そうだし
　直樹くんのこと利用しようとしてるし。」
　


　


　
そんな扱いするとか許さない。と
眉間に皺を寄せて言うAに
思わず噴き出した。
　
　

　
「…ふっ。」

　


「ちょっと、なんで笑うのよ！」

　
　
　

　
　
いつもそうだ。
どんな状況でも
俺が負けないって信じて、そばにいてくれる。
　
　

変わらないAに
愛しさが込み上げた。
　
　



　
　

　
　
　

「あぁ、悪かった。機嫌直せよ。」
　



　


　
怒るAの顎を掴み、軽いキスをする。


　
　

　
「…好きだ。A。」

　
　

「私も好きだよ。
　……ねぇ、もう一回して。」
　



「…煽んなよ。」




　

　
　


　
2人の首にかかるネックレスのチャームが
触れ合って音を立てた。

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