序幕【咲く事を忘れた蕾】 ページ1
▼序幕 ？？？／夕刻／雨
何処だかも分からない雨降る街の中を唯ただ、早くその場から離れたい一心で濡れ湿った地面を、透き通る水たまりに足が入った事も気にせず駆ける少女。
息を荒く上げ、足は段々ともたつき、顔色も次第に悪くなって行く。
次の瞬間、地面を思いっきり蹴って前へ進もうと足を伸ばすが、蹴った足の方が濡れた地面の所為で滑り、前のめりになって躰全身を地面に強打する。
「かはっ…！」
小さい声で苦痛そうな声を出す。その声は雨の音に勝つ様に反響し響いた。
痛さを顔に表しながらも辺りを下から上を見回す。
其処は裏路地だろうか。あともう少し歩めば沢山の人が行き交う大通りが目の前に広がっていた。
だが少女に人々は気付かず、自分の行動を成そうと唯前だけを見て歩く。まるで自分しか見えない様に。
だけど少女から見たその風景は一度心を、躰の底から力が抜ける位の安心感のあるものに見えた。
「逃げきれたんだ…彼処から」
未だだ。もしかしたら私の事を探し回って今も其処を彷徨いているかもしれない。此処よりもっと安心出来る場所へ行かなくちゃ。
けれど幼い子供の躰にこれ以上の動きは求められない位、躰はボロボロだった。
脳内で自分に語りかける様に言った言葉は煙の様に消え、そして目の前に広がる街の光景を段々と霞んでゆく目で見て、最後はその左右異なる色彩の瞳をゆっくりと閉じ、意識は遠ざかり、やがて眠りへとついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫 - 綾辻さんカッコイイですね〜//応援してます！頑張ってください！！ (2016年7月18日 19時) (
レス) id: 3e8226a6a8 (このIDを非表示/違反報告)
千夜 - 綾辻さん大好きです！頑張ってください(^^*) (2016年7月9日 20時) (レス) id: 65a1a1af30 (このIDを非表示/違反報告)
スルメイカ - 綾辻さん格好いいですよね！私も大好きです!！！！更新頑張って下さい! (2016年6月28日 22時) (レス) id: a144d6d49e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月影少女 | 作成日時：2016年6月18日 11時
