．ut side ページ29
昔から俺の家は、周りとはどこか違っていた
暖かいご飯も、お風呂も、両親も。
俺の家には何もなかった。
皆が持っているような暖かい家なんてなかった
家に帰れば暴力暴言は当たり前
『うつ』なんて呼ばれた記憶すらない
小学生の頃、自分の名前の由来を聞いてこいと作文を出された。
もちろん白紙で提出
名前の由来なんて聞かなくともだいたい想像ができるだろう
「ふぅ〜」
ため息とともに煙を吐き出す
でももうそんな残酷で冷たい家はもうない
そう思うと心がひどく軽くなった。
スマホをポケットから取り出すといつもの癖で写真ホルダを開く
《―――鬱、ごめんね。愛してるわ》
お気に入りフォルダから一つの動画を再生する。
聞き慣れた声。嫌というほど見た顔
紛れもなく俺の両親だった
愛してる。と思ってもないことを口に泣き謝るのは俺の母親。
おやじは隣で冷たくなってるのだろうか、一向に動く気配がない
(懐かしい動画やなぁ……)
画面内のほとんどが赤く染まっていて、母親はまるで怯える子犬のような表情でカメラを見ている
《鬱、お母さんが悪かったの……お願い、……お願い助けて…》
あぁそうだ、この頃からだ。
俺が狂っていったのは
画面内の俺が無言で母親に包丁を向ける。
そのまま懺悔する母の声に聞き耳を一切たてず包丁を振り落とした
ところで動画は終わっている。
(消したと思ったんやけどな…)
動画を残していた記憶はない。むしろ消したい欲がすごい
でも、……これは俺が初めて犯した罪なんや
初めては両親だった。
当時のころはあまり覚えていないため説明も出来ないのだが、俺にとってこれは"初めて"という記念動画でもある
消したいけど消したくない。
その優柔不断のせいで二年もフォルダに残ったままだ
……仕方ない。まだとっておこう
(……あっ、…)
動画を横にスライドすると、一つの写真が目に入った
友達とのツーショット写真。小学生の頃だろうか
ヤンチャそうな金髪の男と俺が肩を並べてカメラに向かって元気にピースをしている写真
……誰やったけ。こいつ
確かこいつも家庭環境が俺と似ていた。いや…こいつは俺よりひどかった
それをきっかけに仲良くなったのか…？
名前は思い出せないけど、顔はしっかりと覚えている。写真を見たから思い出したってのもあると思うが。
でも忘れたくない、大切な人……な気がして胸糞悪い
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ウルフ・レト(プロフ) - 白玉こさん» ありがとうございます！嬉しすぎて私のライフもゼロです…😇もっと虜にできるよう頑張ります！！ (3月7日 1時) (
レス) @page46 id: dea71b6bbb (このIDを非表示/違反報告)
白玉こ(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったと心から思います😭ここからの展開が気になりすぎます性癖に刺さりすぎてライフゼロです、、応援してます！！！ (3月6日 21時) (レス) id: e18dbc994e (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ・レト(プロフ) - 匿名野郎さん» わああ…ありがとうございます！！ロさんのそこ意識して書いてたのでとても嬉しいです！完結までどうか楽しんでいってください！ (2月18日 23時) (レス) id: dea71b6bbb (このIDを非表示/違反報告)
匿名野郎 - こういうお話めっっちゃ探してました！！！！！！ﾛさんの初心具合がとても好きです‼️‼️更新待っております！！！！！ (2月18日 14時) (レス) @page31 id: ba9094052f (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ・レト(プロフ) - 風優さん» コメントありがとうございます！大好きだなんて言ってもらえてすごく嬉しいです！ゆっくり更新ですが面白い作品にしていくので最後まで楽しんでいってください！ (1月14日 10時) (レス) id: f93a386a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウルフ・レト | 作成日時：2024年1月3日 1時
