Sincere love*087 ページ41
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3週間、私は目を覚まさなかった。
もしかしたら覚ましたくなかったのかもしれない。
だけど、目を覚ましたら夕希子姉ちゃんが笑ってくれていると思っていた。
それなのに、目を覚ました後には夕希子姉ちゃんはこの世にいなかった。
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「川田Aさんですね、警察です」
「..…な、ん、で」
起きた時、隣で笑ってくれていると思っていた夕希子姉ちゃんはおらず、近くにいた看護師さんが連れてきたのも夕希子姉ちゃんじゃなくて刑事さんだった。
「捜査一課の佐々木と言います、貴方は糀谷夕希子さんをご存知ですか?」
「は…い」
「…彼女の遺体が2週間前、スクラップ置き場で発見されました。我々は他殺として捜査し、糀谷夕希子さんの恋人を犯人とみています。」
目の前が真っ暗になった。夕希子姉ちゃんが殺された…?しかも、恋人に。
訳が分からなかった。
「貴方は糀谷夕希子さんの恋人と面識は」
「あ…りませ…」
「そうですか。…それと糀谷さんと恋人の関係は良好と言えましたでしょうか?」
「は…い。」
茶色い小鳥を出せたことを伝えた時にプロポーズしたと言っていた。彼も驚いたようにしたけど頷いてくれたと。
だから良好であることは間違いなかったのに。
「そうですか、ありがとうございます。失礼しました。」
刑事さんが出ていったあとの病室は誰もいない。夕希子姉ちゃんの温もりもない。
もう笑いかけてくれる彼女はいないの?
そう思ったら息が苦しくなって、上手く息ができなくなって。
どうしてあの時少しでも夕希子姉ちゃんを羨ましいと思ってしまったんだろう。
勝手に姉ちゃんの恋人の面影を好きにならなければ夕希子姉ちゃんと最後までいられたのに。
彼女のいろんな表情は思い出せるのに声だけは思い出せなくて。
彼女のいない世界なら私は死んでもいいと思った。
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青龍 葵(プロフ) - 誤字でしょうか?P58の最後、六郎の家にて「一人のの重みがなくなったソファに…」の「一人のの重み」→『の』多いのでは?一度、確認してみて下さい! (2018年3月22日 3時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまい申し訳ありません!!面白いと言って頂ける作品をお届け出来て良かったです。続編の方もよろしくお願いします! (2018年3月22日 0時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 面白かったです!続き、お待ちしてますね|´-`)チラッ (2018年3月21日 12時) (レス) id: a9d8810827 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - ぷりんさん» プリンさん!!!!!!私の記憶にはしっかりと…。感動的な終わり方と言っていただける作品を作ることが出来て本当に良かったです!私の文章が好きだなんて私には勿体無いお言葉ですが、支えにこれからも書かせていただきますね(;_;) (2018年3月21日 10時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - しばさん» コメントありがとうございます!涙を流していただけるなんてホントになんだか書いてよかった!と思いました!なんて嬉しい言葉ばかりくださるんですかね…(*´-`*)続きも新作もお待ちください、ぜひこれからもご愛読いただければと思います! (2018年3月21日 10時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:烏龍茶 | 作成日時:2018年3月18日 19時