Sincere love*070 ページ24
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六郎に何かあったら教えて、と言った次の日のこと。
日が傾いて、そろそろ夜メニューの準備をしなくては。と冷蔵庫を確認していた時。
私の携帯がなって仕事中ではあったが、人はいないので出ることにした。
「もしも…」
「A?!!!」
電話口の向こうから焦った六郎の大きな声が聞こえて、思わず耳から離す。
しかし離したところからも六郎の声はしっかりと届いた。
「中堂さんが!!!」
「え?!なに!?!」
系さんに何かあったらしい。その瞬間に心臓は忙しく動く。緊張とか、恐怖とかそう類のそれに思わず手を胸元で握った。
何があったのかは急いでいるからか後でねと言われてしまっておそらくの場所を叫んでからすぐに切られた。
「行かなきゃ…」
今日だけ許してくださいと、コートとカバンを持ってお店の戸締りをして、closedの看板をかける。
自分の家に走って戻ってバイクのヘルメットを取る。こういう時にバイクの免許を持っていてよかったと思う。すると郵便受けから飛び出しそうな郵便物たちを見て、それを見過ごせず、仕方なく取り出して家の玄関の戸棚に置く。
するとぱらりと落ちた一通の手紙。
From Tennessee America
アメリカ…テネシー州?誰だろうと思い、その手紙を開くと、糀谷和有の文字。
夕希子姉ちゃんのお父さんの名前だった。
凄く久しぶりの手紙に胸が温かくなる。
夕希子姉ちゃんが居なくなってから連絡が取れなくなっていたから。
それにしても今なんてタイミングがいいなぁと視線を落とすと、ぱっと目に付いた言葉に私の中の全ての歯車が回り出した。
"夕希子はテネシーで眠っています。"
これがどういう事なのか。近年アメリカも火葬になってるとはいえ田舎はそうじゃない。そしてテネシーは田舎だ。
もし私が思った通りのことであればきっと。
ヘルメットを被りバイクにまたがる。ハンドルを回してバイクを出せば体全部で風を感じる。久しぶりの感覚だった。
きっと六郎のあの様子だ。系さんはあの人のところに行ったんだろう。
系さんがいるとされた場所は多分UDIよりも私の家の方が近い。
もし夕希子姉ちゃんに関するこの推測があっているならば高瀬を殺人で裁くことが出来る可能性があるぐっと上がる。
だからどうかお願い間に合って。系さん、お願い。私のそばからいなくならないで。
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青龍 葵(プロフ) - 誤字でしょうか?P58の最後、六郎の家にて「一人のの重みがなくなったソファに…」の「一人のの重み」→『の』多いのでは?一度、確認してみて下さい! (2018年3月22日 3時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまい申し訳ありません!!面白いと言って頂ける作品をお届け出来て良かったです。続編の方もよろしくお願いします! (2018年3月22日 0時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 面白かったです!続き、お待ちしてますね|´-`)チラッ (2018年3月21日 12時) (レス) id: a9d8810827 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - ぷりんさん» プリンさん!!!!!!私の記憶にはしっかりと…。感動的な終わり方と言っていただける作品を作ることが出来て本当に良かったです!私の文章が好きだなんて私には勿体無いお言葉ですが、支えにこれからも書かせていただきますね(;_;) (2018年3月21日 10時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
烏龍茶(プロフ) - しばさん» コメントありがとうございます!涙を流していただけるなんてホントになんだか書いてよかった!と思いました!なんて嬉しい言葉ばかりくださるんですかね…(*´-`*)続きも新作もお待ちください、ぜひこれからもご愛読いただければと思います! (2018年3月21日 10時) (レス) id: 574d66a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:烏龍茶 | 作成日時:2018年3月18日 19時