雨 ページ5
今日はあいにくの雨です。
朝学校に来る時から雲行きは怪しかったけど、
まさかこんなに降るとは思っていなかった。
おまけに低気圧で頭も体も絶不調。
おかげで休み時間は机に突っ伏し、ご愁傷様状態。
傘も持ってきてるか不安だし。
久しぶりの母のお弁当で少し回復して、
午後の授業もなんとか乗り切る。
なんとかなりますよーに。
そんな願いも虚しく、
傘もないし雨は降り続いてるし、最悪だった。
校舎の玄関口で1人項垂れる。
「ほんま最悪やぁ…」
カバンを頭の上に被せ、
ニュースでたまに見るサラリーマンの真似をし、
雨の中に飛び込んだ。
がしかし、誰かに腕を引っ張られ校舎に逆戻り。
西「なにしてんねん」
「傘、なくて。」
西「誰かに借りたらええやん」
「それはなんか申し訳ない」
西「んでこれか」
「うん」
西「どう考えても風邪ひくってわからん？」
「わからんやん、私馬鹿やから風邪ひかんし。」
少しスカートの裾が濡れてしまってひんやりする。
「へくしゅっ」
西「ほら、風邪ひくやん」
「ただのくしゃみやん」
西「風邪の前兆。風邪ひいたら俺が看病せなあかんくなるやろ」
「じゃあどうすればええんよ」
看病なんて他の人に頼むのに。
西「俺の傘、入っていけばええやん」
「え、いいの？」
西「当たり前やろ、彼氏やぞ」
そう言って傘を開いて肩を抱き寄せられる。
帰り道、なんだか照れくさくて時折触れる手がもどかしい。
家まで送ってくれた後、後ろ姿を少し見つめる。
私は全く濡れていないのに、彼の肩は濡れていた。
続く
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