少女とホスト達

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安「はいこれ」


「ありがとうございます…」


安「ごめんね、いきなり。話したことないのに」


「いえ。そんなことは」


安「話したことなかったなと思ってたら、いたからチャンスかなって」


「そうですか」




俺が渡した、オレンジジュースを飲むAちゃん。






安「ごめんさっきの嘘」


「え？」


安「本当は、窓をじっと見てるAちゃんが気になっただけなんだ」


「そうですか」


安「天気がいい訳じゃないのに、何を見ているんだろうって。気になってさ」




そう言うと、少し困った顔をした。




「…私。雨が嫌いなんです。


なのに、小さい頃からずっと雨が降ると、窓から雨が降ってる外を見続けちゃうんです。

何でかわからないけど。嫌いなのに」



安「…そっか」


「こんなこと言われても、意味わからないですよね(笑)ごめんなさい」


安「そんなことないよ」




そう言うと、彼女はまた窓を見た。



「本当はこの雨の中に入って、自分の感情を流してほしいんです。
でもそんなことできないから。

だから雨を見てることで、自分の感情が流れていく気がするんです。
感情じゃなくて、嫌な記憶も。…全部、全部＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」




どうしてそんなに、悲しいことを言うのだろう。




それなのに、どうしてそんなにも綺麗なのか。









手を伸ばそうとしたけど、その手は宙へ浮いて



安「…大丈夫だよ。きっと」




こんな言葉しか掛けられなかった。

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