Two flowers12

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『今すぐ金を用意しろ。ただし、所属事務所には何も話すなよ。

お前らが自分の口座から全財産を引き出して持って来い』

「へ…？」

「全財産？」

『たかがこの女1人のために、全財産を手放すのは惜しいか』

「やっ、そうじゃなくて」

「"たかがこの女"？」

「待ってスンチョリヒョン！今回ばかりは感情的になったらダメです」

『30分待ってやる。急いで行って来いよ？
1分過ぎるごとに女の顔に傷が増えていくからな』

「やっ…」

「ジス！」

「ヌナ…どうしよう」

「とりあえず金を用意しよう」

「急がないと」

「……」

「行こう、A」

「Aヌナ？」

「…

…お願いがあります」

「待ってください。一体何を」


ミンギュの手を振り切って

男の前へ


「その子、私の妹なんです」

『双子か。同じ顔だな』

「お金は全てお渡しできますが、妹を置いてここを出ることなんてできません」

『それで？』

「妹の代わりに私を人質にしてください」

「！？」

「A…」

「ヌナ！」

『涙ぐましい家族愛だな。

そんなことを言っておきながら、大人しく人質になるつもりはないんだろ？』

「え？」

『俺だってバカじゃない。少しはお前たちのことを調べてきたんだ。

さっき撮影の中で、お前が犯人役の男を捕らえたところも見ていた』

「……」

『俺はあえてこの女を人質に選んだんだ。お前よりもこの女を捕まえる方が楽そうだからな』

「…そうじゃないんです。逃げるつもりも、あなたを捕まえるつもりもありません。

私はただ、ジスのことが心配で」

『俺にそれを信じろと？』

「落ち着いてA」

「誰が人質になっても良いことはない」

「今はとになくお金を、」

「離して！」

「えっ」

「Aヌナ…」


私を宥めて

腕を引く


その優しいジュニの手を
荒々しく振り払った


こんなことは初めてで、心臓が激しく動く





"正気じゃない感じで振り切ってくださいね"

"Aさんの様子を見て深刻さが増すと思いますので"



打ち合わせの時に言われた言葉を思い出し

再び集中力を高める



「ジスが…私の大事な妹が、目の前で危険に晒されてるの


こんなの、落ち着けるわけないでしょ！

みんなにはわからないよ！！」


泣きそうなジスを見つめ

大声で叫ぶ


「待っててジス」

「A、」

「すぐ行くよ」

「待って」

「ダメだ！A」

「行くな！！」


制止を振り切って走り出す


そんな私の前に
次々と黒い服の男たちが現れる

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