夜 nk ページ22
Aside
『……眠れないな』
だなんて呟いただけなのに
シングルベッド以外何もないたった5畳の寝室なのに、やけに
寝なきゃいけないという事は無いのだけれど、生活リズムが狂う訳にはいかない。
もう時計は午前二時を過ぎていた。
安眠の音楽を流して枕に突っ伏すが、一向に寝れそうもない。
閉じた瞼には真っ暗な景色が移って、何だか不安な気持ちになる。
……夜は色々考えてしまう。
上手くいかなかった今日、どう転ぶか分からない明日 …
考えれば考えるほど目が冴えてくる。
気付けば、時計の針は午前三時の一歩手前を指していた。
仕方なく枕元に置いていたスマートフォンを手に取る。
その時、急にバイブの感覚を手に感じた。
何事かと思い、画面を見るとそこには " Nakamu " という文字と共に着信画面が表示されていた。
こんな時間に非常識すぎ… なんて思いながら電話に出ようか出まいか迷っていた。
その内、着信画面は終了してしまい履歴だけが残る。
その後に
" 夜遅くごめん、もう寝てたよね "
" ちょっと眠れなくて掛けただけだから気にしないで "
と二件のメッセージが通知された。
……チャンスを逃してしまった。
意気地無し 、あの時すぐに出ていれば今頃……
過ぎてしまった事は仕方がない。
何度悔いた所で、時間旅行等をしない限りその時に戻れる訳なんて無いのだから。
そうやって割り切ってるつもりだが、内心は困惑と後悔と自責で埋め尽くされていた。
こんな自分には本当に嫌気がさす。
はぁ、……寝れそうにないな。
彼も 寝れない なんて言っていたけれど、無事眠りにつく事は出来ただろうか。
だけど、彼も私と同じ状況だったのか と思うと少し嬉しくなる。
彼の安眠を願うばかりだ。
ふと、ﾁｯﾁｯと小さく響く音に気付いてその音の鳴る方へ目を向ける。
時間は刻一刻と過ぎており、針は三時半過ぎを指していた。
眠れない夜はまだまだ続く。
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作者名：れもん | 作成日時：2018年10月31日 17時
