SO1-9.酒は飲んでも飲まれるな ページ11
アーサーは顔を片手で覆うと今度こそ呆れたようにため息を吐いた。
覆った手の薬指と小指の隙間から光を帯びた緑が覗く。その仕草が妙に色っぽくて身を固めて凝視してしまう。
「……でも、」
顔を隠すことをやめたアーサーの手が、指が私の髪をするりと撫でた。耳を掠めた手袋の感触が擽ったくて思わず肩を揺らす。
髪を撫でた大きな手がそのまま頬を包む。いつの間にか手袋は外されていて、彼の肌の感触や湿っぽさが直に伝わって心臓に悪い。
「……僕は君のなのだから、肌身離さず隣におくべきだろう?」
す、と整った顔が近付く。
時が止まったように影の中でも光る瞳を眺めることしか出来なくて、ついにはその光る瞳さえ閉じられて、あともう少しで……。
「…………すぅ」
ぼすん。
彼の金の糸束が頬をかすめた。
肩から全身に伝わる重さと聞こえる規則的な息遣いに、バクバクと高鳴っていた心臓が一瞬にして冷静さを取り戻す。
「……寝た?」
ぽそりと呟いても帰ってくる言葉はない。
顔の見えない状態では確認の仕様がないが、これはという確信はあった。
仕方の無い彼を引っ張ってベッドに寝かす。
きっと、私がただの人間であれば寄りかかられた時点で倒れていただろうなあ、とサーヴァントの身になって初めて感じた感動を噛み締め立ち上がる。
一瞬で冷めたとはいえ、余韻で熱いままの頬を冷ますようにぺたぺたと触る。
自室を出て向かうのは彼の部屋だ。
アーサーが私の寝床を占領しているので申し訳ないが使わせてもらおう。
………少しだけ期待してしまった私と、残念がっている私を無視して無機質な廊下をただ歩いた。
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クロ民(プロフ) - とても面白いです!このお話が大好きなので続きが読みたいのですがサイトが見つかりませんでした(泣)できればこのサイトで続編を書いてほしいです!もしくは再度サイトのURLを載せてもらえませんか、、? (2022年4月14日 22時) (レス) id: 11661d9bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ねづ - とっても面白いです! この続きが気になり,飛んだのですが見つかりませんでした(´;ω;`) もし良かったら このサイトで続きを書いてくだされば幸いです!よろしくお願いします.... (2020年4月15日 11時) (レス) id: 2a8953498e (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - とてもハマりました!個人的にキャスギルを応援しています!(笑)続きが見たくてURLに飛んだのですが、このページは存在しません、と出てきてしまい見れません...。どうかご対処お願いできないでしょうか...? (2020年3月29日 12時) (レス) id: deac6214c7 (このIDを非表示/違反報告)
みっとん - とても面白いです!続きが見たいのですがなぜが見れません!URLが違うのでしょうか? (2020年3月7日 19時) (レス) id: 3d615f265d (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - とっても面白いです!一気に最終話まで見ちゃいました(笑) 続きが別のところにあるとURLが貼ってあったのですが、それがみれないです...もし、できればまたURLを書き直して頂けませんか? (2019年10月22日 15時) (レス) id: e8ab0e88e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるこ | 作成日時:2018年7月15日 3時