reminiscence..【佐野万次郎】 (ページ5)

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私はバイクを組み立てる櫂達を見ながらお菓子を頬張ってその様子を見ていた。
あーでもないこーでもないと言いながらバイクをいじる2人はとても楽しそうだった。
その時だけは無邪気な少年だ。

『真兄？向こうに行ってきてもいい？』

「ん？いいぞー」

「俺らここにいるから、なんかあったら呼べよ？それと、」

櫂はまだ話してる途中だったけど私は最後まで聞かず『は〜い！』と先走った。

「ったく、あいつ…！」

「じーちゃんにはお前らが来ること伝えてあるからそんな心配すんな(笑)それより…あれからどうだ？」

「ああ……うん、まぁなんとかやってるよ」

「そうか…大変だったな」

「……あいつさ、Aさ、親父達が急にいなくなって寂しいはずなのによ、未だに一度も泣いてないんだ。病院に駆けつけた時もよ、俺やばーちゃんが泣きじゃくってる中あいつ1人だけじっとしててさ…俺が声をかけたらあいつなんて言ったと思う？「櫂、大丈夫だよ。Aがいるからね。Aが守ってあげるからね。」って言ったんだぜ？まだ4歳のチビがだぞ？もう俺さ…それ言われた瞬間…ッ」

「…。」

「……真オマエはさ、オマエの時はどうだったんだ…？」

「オレ？んー俺ん時はー…お袋が亡くなった時万次郎はまだ赤ん坊だったし、親父はどっかに消えちまってたからなぁ〜…」

「…。」

「けど、オレにはじーちゃんがいたし何より万次郎の世話で忙しかったからな、落ち込む暇すら無かった(笑)」

「それな(笑)」

「…なぁ櫂。オレら同じ立場になっちまったけどさオマエにはオレがいるし、オレにはオマエがいる。だから1人で抱え込むなよ」

「…うん」

「オレらが親の分まで万次郎とAにカッコいい背中見せてやろうぜ。な、兄弟？」

「ハハッ！…だよな、オマエの言う通りだよ。たまには良いこと言うじゃん(笑)」

「"たまには"は余計だばーか(笑)」

「…サンキューな、真」

「おう。………ところでさ櫂、」

「ん？」

「女の子紹介して」

「ッまたかよ！！！つかオマエ、こないだの子どーしたよ？！」

「それ聞く？！…フラレタンダヨ」

「はっ？まじ？！オマエこれで何連敗！？」

「…8…(泣)」

「うわぁ〜…(さすがに同情するわ)」