reminiscence..【佐野万次郎】 (ページ31)

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『圭介もなんでいるの！？帰ったんじゃなかったの？！』

「オレ？！いや帰ってたし…！」

『それでなんでいるのよ」

「あんま場地いじめんなって(笑)さっきも言ったろ、オレが勝手にしただけって」

『それじゃ納得出来ないよ』

「…なに、そんなに心配？アイツのこと」

『心配っていうか！…失礼でしょ…さすがに」

私は罪悪感を感じながら先を歩く2人の後をとぼとぼ歩いた。
足取りは重く頭の中は"どうしよう"でいっぱいだった。
前を見ればケラケラと笑ってる万次郎の横顔。
完全に他人事だと思ってるな〜って思ったけどもう怒る気力すら無かった。

圭介んちへと続く分かれ道まで来ると慰めなのか「元気出せって」と声を掛けてくれた。
私は下を向いたまま低いトーンで『うん。ありがと』って返すと圭介は苦笑いを浮かべ帰っていった。

万次郎と2人きりの帰り道になった。

「なぁ、いつまでそうしてんの？」

『………』

私は無視した。
もう振り回されるのはイヤだったから、だから口を聞きたくなかった。
少しすると万次郎が「場地にさ、」と話し出したから私は顔を上げて覇気の無い目で万次郎を見た。

「ユキが行った後、場地に聞いたんだ。あいつ永瀬と仲いいじゃん、だから。なんか知ってそーだったけどほら、場地はダチ売るような真似しねぇじゃん？だから言わなかったんだけど」

『じゃあ、圭介知ってたんだね…』

「多分な、」

『それで次郎はなに？』

「ん？なんかイヤだったから」

『は？それだけ？』

「ん、それだけ」

『ハァ……』

「もしかしてオマエ、永瀬のこと好きだった？」

『はっ？！……永瀬くんは友達、ただの友達だよ。だから驚いたけどちゃんと思ってること伝えようとしたの』

「ふ〜ん…じゃ付き合わねんだ？」

『バッ！！なに言ってるの？！付き合うとかっ……大体、私分かんないし。その、好き？とかさ…？……だから付き合うとかは全然先の話しだと思ってる。そういうのは、付き合うのは、ちゃんと、好きになった人と…ってもぉ次郎に何言ってるんだろ私、ハァ…』

「へぇ〜Aちゃんは意外とお子ちゃまなんだな」

あ、ムカつく。シンプルにそう思った。
ホント余計なことしな言わないなこの人。
私は目を細めてジロッと見た。

『お子ちゃまはどっちよ、いつも世話されてるくせにタオル握ってないと寝れないくせに大体なんで、なんで私が告白されて次郎が嫌がるのよカンケー無いじゃん』

ついムキになって言い放ってしまった。