舞台の上のシンデレラは、窮屈なガラスの靴を脱ぎ捨てた。【A3！】 (ページ22)

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理不尽な苛立ちページ22

折角、歩み寄ろうとしてくれていたであろう高遠さんから逃げるようにして登校したその日。

教室の扉を開けた先で私を待っていたのは、クラスメイトである女子たちの凍てつくような冷たい瞳であった。

鋭い視線が一気に自分の体に集中して、痛いくらいに突き刺さる。その原因はきっと、昨日の佐久間さんたちとのやり取りで。

やけに私に構う三人。

伏見さんから預かったお弁当。

突然のお昼のお誘い。

そこからきっと彼女たちは察してしまったのだろう。

私がみんなと一緒に住んでいることを。

転校して間もない私でも昨日の教室での騒がれようを見れば、三人が学校の人気者であることくらい分かる。

いつでも誰に対してでも優しくて明るい佐久間さん。

不真面目さが目立つが、イケメンで女子に対してはさりげない気遣いの出来る摂津さん。

元々、クールで格好良いと評判の碓氷さん。

この三人がモテない訳がなかったのだ。

今すぐに逃げ出してしまいたい衝動をぐっとこらえて、ヒソヒソと囁かれる悪口に傷付きながら席につく。そして、今にも泣きそうな情けない顔を隠すために机へと突っ伏した。

私が目指していたのは、目立たず、ひっそりと過ごす学校生活だったはずだと言うのに。それがどうしたことか。転校二日目にして、女子たちの嫌われものだ。

本当に、どうしてくれるのだろうか。

ただ、どうしても転校したばかりである私を気遣ってくれただけの三人に理不尽な苛立ちを覚えてしまう。

そんな自分が更に情けなくて。机から顔を上げることが出来なかった。