午前六時 ※6/28内容一部変更有り ページ15
カーテンの隙間から差し込む太陽の光の眩しさによって目が覚めた。
携帯で時間を確認した後、起きなければ、と考えるも掛け布団を頭までかぶり、縮こまらせた体は動かないままだった。
寝不足で全く回らない頭でも、起きなければいけないと分かっているのに布団から抜け出せない。
ああ、またかと一人頭を抱える。
あの日からずっとそうだ。
毎日、朝を迎えるたびに失望する。役者ではなくなった情けない自分に。そして、そんな自分が大嫌いで。起きることさえも億劫になってしまっている。だから、大阪から逃げ帰ってきたあの日から、姉さんに外へと引きずり出されるまでずっと私は部屋に引きこもり続けていたのだ。
また、此処でも同じことを繰り返すのか。そんな暗い気持ちで、布団に丸まり続けていた時であった。
コンコンッ、と快活なノック音が部屋に響いた。
もう一度、携帯の時計を確認すると、今は朝の六時だった。
起きるにはまだ早い時間だというのに、一体誰だろうか。
「はい」
嫌々ながら、返事をすれば――――
「Aちゃん、おはよう。月岡です」
扉の外から、月岡さんの声が聞こえてきた。
「月岡さん?」
突然の思わぬ来訪者に首をかしげる。
「朝早くにごめんね。今から、少しだけ時間もらえるかな?」
「えっと……少しだけ待って貰えますか?!」
彼の言葉に、私は鉛のように重たい体を慌てて起き上がらせた。
流石に寝起きのままの姿を彼に見せるわけにもいかず。
パジャマよりはマシだろうと、普段着として使っているジャージに着替えて、なんとか髪だけでもと整える。どったんばったんと騒がしく準備をして。月岡さんの前に出ていくことが出来たのは、それから数分後のことであった。
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2020年9月11日 23時