月恋 第250話 【ないしょのはなし】 ページ12
グラビの共有ルームへと嫌がるAちゃんをお姫様だっこで運び、ソファへと座らせる。そして彼女の膝にブランケットをかけて、温かい紅茶を淹れた。
「いたい! 春さん痛いです!」
二人分の紅茶を淹れ終えてから、木に登っている途中、腕を擦りむいてしまった彼女の手当てを暖房の効いた部屋でするものの、消毒が滲みるらしく若干、目に涙を溜めた彼女に痛いと訴えられてしまった。
「はいはい、しばらく我慢してね」
そんな彼女を苦笑気味になだめながら、手際よく手当てをしていれば――
「「ただいま!」」
仕事で出払っていた面々が揃って帰ってきた。
「A、ごめん! 電話きてたのに出れなかった!」
「僕も。ごめんね?」
「いえ、大丈夫です。こちらこそ、お仕事中にすみません」
恋と涙がAちゃんの姿を目にし、慌てて謝った。
恋と涙、そして俺だけでなく、葵くんや新、それに隼までもがどうやら彼女に電話を貰ったらしいがどこも仕事中で出れなかったようだ。
なるほど、助けを求めるために順番に電話をしていったのか……ただひとりを除いて。
眉を八の字にひそめ、片手に握られた携帯と、Aちゃんから電話をもらったと言っている面々を交互に、恨めしそうな目で見ている始をちらりと一瞥する。そして、ソファに座り申し訳なさそうな顔をしているAちゃんに尋ねた。
「始には電話しなかったの?」
「その、出てくださる確率がいちばん低そうだったので、春さんの次に電話しようかと思ってたんです」
「あー、始に電話する前に俺が出ちゃったわけか」
「あと、その……」
一瞬、Aちゃんが視線をさ迷わせ、口ごもった。
どうしたのだろうかと首をかしげていれば、彼女に耳を貸してほしいと手招きをされた。
どうやら、聞かれたくない内容のようらしい。
言われた通り、片耳を彼女の唇の傍へと持っていけば、小さな声で始に電話をかけなかったもうひとつの理由をこっそり教えてくれた。
白田を助けてくれたことはあとで目一杯、褒めるとして、大したことのない掠り傷で済んだと言っても、怪我をしたことに代わりはないし、誰にも相談せずに危ないことをしたのだ。それに関しては俺もまだ怒っている。
月恋 第251話 【飴と鞭】→←月恋 第249話 【お説教はまたあとで】
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櫻餅(プロフ) - ヴィーさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです！里津花さんとも絡ませたいと思っておりますので、ぜひ、お待ちいただけると嬉しいです！ (2021年3月10日 23時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィー(プロフ) - はじめまして。楽しく作品を読ませていただいています。過保護になっていく周囲の様子が大変好きです。みんなを惹きつける暦ちゃんというキャラはとても素敵ですね！いつか私の推しの里津花さんとの絡みが見てみたいです。更新楽しみにしています。応援しています！ (2021年3月3日 2時) (レス) id: 165a850c32 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 水瀬さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！女子グループの絡みもまだまだあるので、楽しみにしていただけると嬉しいです。これからも、ゆっくりではありますが更新頑張っていきたいと思います。 (2020年11月7日 0時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - 暦ガール凄く好きです！頑張るこよみんに周りの人達との絡み、なんと言っても女子グループ好きの私には彼女等絡みは大変大好物です！！ゆっくりの更新でいいです。次の更新がどんなに先でも、ずっと楽しみにしてますし、自分のペースで頑張って下さい！応援してます！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 0b4edebf8a (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ことりさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。コメント有難う御座います!また不定期ではありますが、更新頑張っていきたいと思っておりますのでどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2020年8月25日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2019年5月25日 3時
