月恋 第235話 「深紅に彩られた唇が告げる」 ページ45
Aちゃんにお礼を伝えたあと、また、たくさんの事を話した。
しばらく時間が経ち、壁にかけられた時計を見てそろそろお開きにしようかとお互いの部屋へ戻ろうとしたときだった。
「郁兄!」
自分の部屋の扉を開けた刹那、Aちゃんに慌てて呼び止められた。
「ん? どうしたの?」
扉のドアノブにかけられた手を止め、彼女の方へと振り向けば、彼女からなぜか少しだけ屈んでほしいと遠慮がちにお願いされた。
一体全体どうしたのだろうかと、不思議に思いつつもヒザを曲げ、小柄な彼女の目線に合わせて腰を折る。
それを確認したAちゃんは満足げに口角を上げ、俺の耳元へ、その深紅に彩られた唇をそっと近付けて言ったのだ。
「一生懸命走ってる郁兄、すっごくかっこ良かったです」と。
耳元で告げられたことばの意味を、脳が理解したとたん。心臓が痛いほど締め付けられ、ぶわり、と全身に熱が駆けめぐり、体温がいっきに上昇した。
「すごくかっこ良かったです」と言う言葉が、脳内に響き何度も繰り返される。
直接言われるのは照れくさくて、どこかくすぐったい。けれど嬉しくてたまらず、ついつい口元が緩み、にやけてしまう。
だらしなくにやける口元と熱が集まりほんのり赤に染まった頬を片手で覆い隠し、「ありがとう」と告げるのが精一杯であった。
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snow(プロフ) - 櫻餅さん» すごくキャラの性格が出ていると思います。皆の良いところが出ているなと思います。忙しいと思いますが無理せずに頑張って下さい! (2019年5月17日 17時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有難う御座います!夢主人公だけでなく、書かせて頂いているツキウタ。キャラも好きだと言って頂けてとても嬉しいです! (2019年5月17日 5時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんばんわ♪更新、ありがとうございます。やっぱり好きです。ヒロインの真っ直ぐな所も可愛いけど、他のキャラも好き。今回の話は新君らしいなって気がしました。是非、志望校に受かって欲しいなと思いました。 (2019年5月16日 21時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - といろさん» コメント有難う御座います!また不定期ではありますが、更新頑張っていきたいと思っておりますので宜しくお願い致しますm(__)m (2019年5月15日 2時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
といろ - 再開待ってました!ありがとうございます…!これからもずっと応援しています。無理なさらぬよう、お願いします…!! (2019年5月14日 13時) (レス) id: 8af1b1e6db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年11月5日 18時