月に恋せよ暦ガール 【5】

月恋 第227話 「魔王様コンビ」 ページ37

翌日、土曜日の朝。

世間一般的には休日と称されているが、会社によっては出勤する人、部活がある学生によって、休日よりは幾分かマシだが、多少の混雑を見せる駅の改札口にて。

ピーッピーッと言う機械音がけたたましく鳴り響き、何処から鳴っているのかと気になった周囲の人達の視線を一瞬だけさ迷わせた。

勿論、その機械音の元凶は皆様お察しの通り。プロセラの白き魔王様、我らが隼兄である。

相変わらず機械との相性が悪く。今日も無事、改札機に挟まった。

「隼、それはどうにかならないの?」

彼が挟まったと同時に、思わず涙兄も呆れ顔を浮かべた。

「んー、僕もどうにかしたいとは思っているんだけどね? 困ったものだよねぇ」

慌てて駅員さんを呼びに行く私と涙兄に対し、当の御本人様はまるで焦る様子はない。

困ったものだよねぇ、と口にしつつも顔は優雅に笑っている。

この場に葉月さんが居たのならば、「困ってるなら、もっと困った顔しろよ! 笑ってんじゃねぇ!」とすかさずツッコミを入れていたことだろう。

しかし、今現在、最強マイペース魔王様と共に居るのは私と涙兄の二人だけ。

ツッコミ担当不在のなか、時間内に会場まで辿り着けるのか不安でしかない面子であるが、此処は出来る限りのスピードで急ぐしかない。

駅員さんに乗り換える駅ごとにお世話になりながら、私と涙兄、そして全く危機感の無い隼兄の3人は郁兄が待つ会場へと出来るだけ早く向かったのである。

月恋 第228話 「聴覚まで張り巡らせる」→←月恋 第226話 「プロセラのスポーツ少年」

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