月に恋せよ暦ガール 【5】

月恋 第 225話 「信じることもときには必要」 ページ35

「A、大丈夫?!」

収録が無事終了し、各関係者やスタッフの方々に挨拶を済ませてから、罰ゲームの連続で水浸しでビショビショになってしまっているAの元へ。

まあ、俺達も罰ゲーム連発させてドロドロのビショビショなんだけどね!

人のことが言えない格好ながらも、どうしてもAのことが心配だったのだ。

過保護だと言われればそうかもしれないが、Aはしっかりしてそうで、実際はそうでもないのである。ついつい、心配になってしまうのだ。

「Aごめんね! ほんと大丈夫?」

駆が慌てて声を掛ければ、予想以上に平気な顔をしたAがニパァッと嬉しそうに、向日葵が咲いたかのような明るい笑みを浮かべながら、楽しかったです、と一言。

そう告げたのである。

彼女の一言に、俺達の肩の力が一気に抜けていく感覚がした。

ああ、そうだった。Aは、危なっかしい一面がある以前に、何でも楽しんでやろうと言う気持ちの方が強い子であった。

元気で明るく真っ直ぐで。何でも体当たりして挑戦しようとする子だから、どっちかというと男性のお笑い芸人さんの出演が多このクイズ番組の出演オファーが来たのであろう。

だから、今の俺達がすることは彼女を心配するのではなく。

よく頑張ったと、楽しかったなら良かったと、また次もあったら頑張ろうねと、俺達の小さな妹分であり、可愛い後輩である彼女を目一杯褒めてあげるべきなのである。

そして思った。今度からは端から彼女を心配するのではなく、彼女の真っ直ぐさを、体当たり精神の強さを信じて、さりげなく背中を押してあげれるようにしよう、と。

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