月に恋せよ暦ガール 【4】

月恋 第180話 「発端の原因の一つ」 ページ38

「蝶の柄は長寿や復活、変化を意味し、朝顔は愛情を意味する様に彼女が着ていた燕の柄は恋を運ぶと言う意味があるんだよ」

隼の説明に俺は成る程、と頷いた。

前に何処かで鳥は「幸せを運ぶ」ものの象徴であり、中でも渡り鳥である燕は恋を運んでくると聞いたことがある。童話にも鳥が幸福を運んできたり、燕が人々に幸せを運んで行く物語があった気がするから、そう言われるのも無理はない。

「純粋にAの浴衣姿が見たいと思って浴衣を買ったのだけれど、僕が買ったことによってちょっぴり力を与えてしまったみたいでね? その僕の力がAの真っ直ぐで純粋な心から沢山パワーを貰ったらしく、どうも海の初恋を運んできたみたいなんだよねぇ」

隼の言葉に、ん?!と俺は首を大きく傾げ思わず彼の話にストップを掛けた。

「ちょっと待て隼。何でお前がAの服のサイズを知っているのかとか、何で浴衣をわざわざお前が買ったのか、そんな不思議現象あってたまるか!とか、色々ツッコミたいことはあるが一つ、これだけは言わせてくれ、否、言わせてください」

「遠慮なくどうぞ」

「Aがあの不思議な空間に紛れ込んだ原因、やっぱりちょっとはお前も関係してるんじゃないか!!」

「てへっ!」

ズビシッ、軽く隼の頭に手刀を入れるもこいつには痛くも痒くも無いようで。ちょろっと舌を出してウィンクを決めてきた。野郎がてへっ、とか言っても全然可愛くないからな?

男に厳しく女の子に甘い陽が此の場に居たら、隼のこの可愛い子ぶりっ子な行動に間違いなくキレていただろう。

月恋 第181話 「夏休みと蝉の鳴き声」→←月恋 第179話 「浴衣に込める」

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