月恋 第161話 「梅雨の日の思い出」 ページ19
「結乃さんは、アイドルとして皆さんの心を照らすことが出来る晴れ女だと私は思います!」
突然のことに驚き唖然とする本人を前にし、私は止まらない。
「いっつも家で一人ぼっちで寂しい想いをしていた私の心を、何度テレビ画面の中で晴らしてくれたことか! 愛さんや他の皆さんにも励まされたことは何度もありました。でも、雨が降って雷が鳴っていた日は絶対、他の誰でもなく貴方の明るい笑顔と力強い歌声が真っ先に浮かんできました! だから、結乃さんは物理的な雨女かもしれないけれど、アイドルとしての結乃さんは皆の心の晴れ女だと思っています!」
ついには傘を放り出し、結乃さんの両手を自分の手で包み込み力強く彼女の魅力を語ってしまった。
正気に戻ったときにはもう遅い。二人していまだに降り続ける雨によって、髪も服も全て濡れてしまっていた。
「ご、ごめんなさ―――」
「ありがとう!」
結乃さんを雨で濡らしてしまった。その罪悪感により彼女の顔が真っ直ぐ見れず。顔を俯かせたまま謝ろうとしたとき。彼女が私の体を勢いよく抱き締めた。
「あ、あの、結乃さん?！」
突然細く長い彼女の両腕にすっぽりと抱き締められ、困惑を隠せない。
彼女の仄かな甘い香りがふわりと柔らかく私を包み、服が濡れているせいか密着した彼女の体温が直に伝わってきて余計困惑するも、結乃さんはそんなのお構い無しで私を更に力強く抱き締める。
「ありがとうAちゃん! 落ち込んでいた心がお陰ですっきりしたよ! これからも私はアイドルとして、皆の心の晴れ女として頑張れそうだ…………本当にありがとう。Aちゃんに会えて良かった」
彼女の嬉しそうな声が私の鼓膜を揺さぶる。
それを聞き、伝えて良かったのかもしれないと私の心も軽くなった。
その後はお互いびしょ濡れの姿に小さく笑みを溢し、風邪を引かない内にとツキノ寮へ急いだ。
帰って来て、丁度プロセラの共有ルームに遊びに来ていた葵さんと、夕飯の準備をしていた夜さんの女子力お母さんコンビと遭遇。
二人に慌ててタオルを持って来て貰ったのも、梅雨の日の良い思い出になりそうである。
月恋 第162話 「たった数ヵ月であれど、学ばされたことは数多く」→←月恋 第160話 「雨の日の思い出」
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います！お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します！ (2018年11月5日 18時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです！ このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています！！ (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年4月15日 23時
