月恋 第102話 「奥ゆかしき」 ページ8
「うーづーきーさーん、突撃ー!!」
「うぐっ!」
皐月さんの部屋の隣、卯月さんの部屋へとお邪魔してすぐ。
今日も今日とて芸術的な寝癖をつけながら爆睡している卯月さんの腹へとダイブ。
その衝撃により、ぐっすりと眠っていたはずの卯月さんは一発で目を覚ました。
「おはようございます、卯月殿下!」
「おー、おはよー、おやすみー」
「ちょいちょいちょい! おやすみじゃないです、おはようです! 起きてください、今日は平日ですって、ウギャァッ!!」
起きて数秒後、直ぐ様布団へと逆戻りしそうになった卯月さんの両腕を引っ張って無理矢理にでも起き上がらせようとした私は、後ろに倒れようとする卯月さんを支えきることが出来ず。
そのまま卯月さんに抱き付く形になって、二人して布団へ倒れ込むことになってしまった。
この体制はマズイ。
アイドル的にも男女的にも、事情を知らぬ第三者に見られたら誤解を招く体制だ。非常にヤバい。
幼稚な私の頭でもそれくらいは理解できる。だから焦った。早く卯月さんから離れて、彼に起きて貰わなくてはいけない。
そう思い、慌てて彼から離れようとしたが―――
「あれ?!」
何と言うことでしょう。いつの間にか、卯月さんの長くて細いが、ダンスレッスンで鍛えられて力のついた両腕が私の背中へと回され、ガッチリと抱き締められていて離れることが出来なくなっていた。
「え、嘘でしょ」
顔を蒼白くさせるのは、本日二度目である。
耳元で聞こえるのは、二度寝の誘惑に負け、再びベッドに戻り、すぅすぅと気持ち良さそうに眠る卯月さんの寝息。
一向に起きる気配がない。
「え、嘘でしょ卯月さん。ふざけてないで起きてくださいよ。どうせ、実は起きてました。ドッキリだいせいこー的なアレですよね? もしもーし! 卯月さん、おーきーてー!!」
「んー、うるさいぞピンク頭」
「誰がピンク頭の如月さんかッ! 私は黒頭のAです! グラビとプロセラの可愛い可愛い妹分、こよみんです!」
私が彼の耳元で叫ぶと、パッチリ、閉ざされていた黒い瞳が意図も簡単に開かれた。
「え、A? あー、どおりで柑橘系の甘い香りがすると思った。つかお前、自分で可愛いって言うのは、奥ゆかしき日本人女性としてどうなのよ」
そんな冷静なツッコミが出来るのなら、早く起きてくれ卯月さん。
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時