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月恋 第141話 「ちょっと遅めの忠告」 ページ47

頭が痛い、喉が痛い、暑い筈なのに寒い、視界がぼやける。

なんとか無事に授業を終わらせた学校帰りのこと。私は雨の中、水玉模様の傘を差しながらフラフラと覚束無い足取りで撮影現場に向かっていた。

何故こんなにも体調が悪い日に限って雨なのだろうか。答えは簡単、それは梅雨だからである。

止むことを知らぬ雨は、ひたすらコンクリート地面に向かって降り注いでくる。次いでに私の頭上にも降り注いでくる。

強く地面に叩き付けられた雨の雫が私の足に跳ね返ってくる。灰色の地面に作られた大きな水溜まりに間違えてはまり、靴が浸水。お陰で靴も靴下もびしょ濡れ。

雨が横殴りに降るものだから傘の意味はなく、自分の顔に容赦なく水が当たって寒いのが余計寒くなる。

今の私の気分は最悪。

雨よ、覚えておけ。祟ってやるからな。

後で嫌がらせのように照る照る坊主大量に作って、明日は絶対晴れにしてやる。そう力強く意気込んで撮影現場へ。

「おはようございます。今日も宜しくお願いします」

夕方、芸能人特有の挨拶をして撮影現場に入っていく。

今日は室内の撮影で良かったと少し安心する。けれど油断は禁物。ちょっとでも気を抜くと倒れてしまいそうなほど体が怠いのだ。

気合いをいれろ私!

心の中で自分を奮い立たせつつ一応、微熱があって少し体調が悪いと監督さんに伝えてから撮影開始時刻まで待つ間、濡れてしまった体を簡単に先程貰ったばかりのタオルで拭う。

ドラマに関してはこだわりが強くて演技指導に厳しい監督さんではあるが、それ以外は普通に良い人で、「もし体調が悪化して、撮影続行が無理だと思ったら遠慮せず言ってくれ」と言ってくれたためちょっとだけ一安心。

帰りは黒月さんが迎えに来てくれるし、葉月さんだってもうすぐ来る。だから、それまでは頑張ろう。と意気込んでいると――――

「Aちゃん、こんにちは。外凄い雨だったでしょ。大丈夫? 濡れてない?」

今日も今日とて人懐っこい笑みを浮かべた堀宮さんがやって来た。

「こんにちは堀宮さん。さっき、スタッフさんがタオルをくださったので大丈夫です」

堀宮さんは自分よりも年上の男性だが、とても笑顔が可愛らしくて羨ましい。

「そっか。最近雨続きだったし、昨日の撮影も雨の中やったから体調崩さないよう気を付けてね?」

「は、はい、ありがとうございます!」

堀宮さん、御忠告は大変嬉しいのですが、もう手遅れです。今まさに体調崩してます。

月恋 第142話 「艶やか」→←月恋 第140話 「梅雨の季節」



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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時

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