月恋 第140話 「梅雨の季節」 ページ46
ドラマの撮影が本格的に始動し早数日。
新緑の春、目に優しい緑が広がり心地好い風が吹き抜ける5月はあっという間に過ぎ、雨が多くてじっとりとした気候が続く雨季の季節、6月になった。
ドラマの撮影が夜遅くまで掛かった今日も生憎の雨模様。
大粒の雨が絶え間なく東京のコンクリート地面に叩き付けられる音を耳にし、黒月さんに送ってもらいながら私と葉月さんの二人、睡魔に襲われて車の中で爆睡。
ドラマの撮影が始まってから少しずつメディアへの露出が増えてきた私は段々と忙しくなりつつあった。
うちの学校は部活強制。だから、弓道部に入り部活にもちょくちょく参加しながら芸能活動をしている。
予想以上に忙しくて疲れが溜まってきていたうえに、今日は生憎の雨。そんな中、雨に打たれてながら撮影をしていたせいだろうか、翌日私の体に異変が起きたのである。
「ふえっくしょん!」
早朝。起きてすぐにおっさんくさい、可愛いげのないくしゃみを自室に響かせた。
己の体温で適温になっていた布団から抜け出してから直ぐ、自分の体に違和感を覚える。
頭が酷く痛み、寒気がするのだ。
最近蒸し暑くなってきていたが、今日はやけに寒いなと首を傾げる。
「あ、ポチ丸さんにご飯あげないと………って、ん?」
声を出してみて、自分の声がガラガラになっていることに気付く。心なしか喉も痛む。視界がぼやける。
これは可笑しい、風邪でも引いたのだろうか。寒気、喉の痛み、頭痛、この三拍子である。
恐らく風邪だろう。と至って冷静に自己完結。
それから、引き出しの中にあった体温計を取り出し熱を測る。
ピピッと小さな電子音が鳴り、それを合図に体温計を自分の脇から取り出す。
体温計に表示された温度は38.9、間違いなく風邪であるし結構熱が高い。
本来なら、学校を休んでゆっくり寝ているのが一番であるが如何せん。今日もドラマの撮影がある。
撮影に穴を空ける訳にはいかない。かといって、学校だけ休んで撮影に行くのはどうかと思われる。
「病は気からとも言うし、気合いでなんとかなるでしょう! 市販の風邪薬さえ飲んじゃえば大丈夫大丈夫! ね、ポチ丸さん!」
結局風邪薬を飲んで学校にも撮影にも行くことにした私はゲージの中で大人しくしていたポチ丸さんにドヤ顔をして見せると、「こいつバカだ」と言いたげなジト目を向けられた様な気がした。
でも知ってた?ポチ丸さん。
――――馬鹿って風邪引かないんだよ!!
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時