月恋 第134話 「食ってやる」 ページ40
「この撮影が上手くいったら、頭くらい幾らでも下げてやる」
冷静になって青ざめている私に、朏さんは意地悪そうな笑顔を浮かべて去って行った。
え、何それ腹立つ。
詰まり、この撮影でまた私が失敗したら謝罪はしないと彼は言っている。
彼は果たして、人に煙草の煙を吹き掛けたことを悪いと思っているのだろうか。いや、絶対に思っていない。
私だって、撮影のことを悪いと思ってちゃんと頭を下げたのだ。それなのに人の謝罪は「言葉だけ」だと言い放ち、自分は私の芝居が上手くいったら「頭を下げてやる」と上から目線。
彼は先輩だけれど、この上から目線は腹立たしい。
腹の底から、先程鎮まった筈の怒りがフツフツと込み上げてくる。
あの人を見返したい。今の私の心の中は、この事だけで一杯だ。
「食ってやる」
そして、彼を見返したいと言う気持ちが心の中から溢れ出てくるかのように、ポロリと口からそんな言葉が飛び出てきた。
あの人を私の芝居で、魅力で全部食ってやる。それで頭を下げさせてやるのだ。
「さっきはすまなかった」と、その一言を捻り出させるために私は闘志を燃やす。
「Aちゃん、大丈夫? そろそろ戻ろうか?」
此方を心配そうに眺めてくる堀宮さんにお礼と先程驚かせてしまった謝罪を伝えて、私は後の休憩時間を全て芝居に注ぎ込んだ。
―――――絶対の絶対にあの人を私の芝居で食ってやる。
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時