月恋 第125話 「塩対応はいかがですか?」 ページ31
「え、何かもう本当に脳細胞死滅したんじゃないですかね、葉月さんのせいで」
「軽口叩ける余裕があるんだから死んでねーよ」
「いや、もう絶対脳細胞ヤバイことになってます。後で夜さんにチクってやろー」
「マジでそれはやめろ。つか、お前は何時になったら俺のことを名前で呼ぶんだよ」
「1000年後」
「来世かよ!」
なんてふざけたやり取りを小声でしつつ、今はヒロインと相手役の場面の撮影を二人して眺めている。私の出番はこの後。葉月さんの出番はその次の後となる。
流石は芝居を仕事にするだけあって、ヒロイン役の子もその相手役の人も演技が上手い。
それを見て、私は果たして大丈夫だろうかと不安に思い、心臓がバクバクと鳴り出す。
話が展開し、自分の出番が迫り来るごとに冷や汗が頬を伝う。
この状態で芝居をしたらきっと、台詞を噛んでしまうどころか声が出てこず、芝居になら無くなってしまうのではないだろうか。
それだけは避けたいと、この状態を何とかするために、隣の葉月さんともう一回だけ話して緊張を解そうと考えた。
「葉月さん」
隣のパイプ椅子に座っている葉月さんの洋服の袖を、ちょんちょんっと遠慮がちに引っ張る。
「ん? どうしたー?」
目の前で行われている芝居から目を離さず、葉月さんは私に対して適当な返事をする。
「今更ながら緊張してきました」
「深呼吸しろ」
「無理です。吐きそうです」
「飲み込め」
「鬼かあんたは!」
そんな彼に今の心境を報告するも塩対応。けれど、この塩対応が今の自分の緊張を溶かすのには丁度良くて、少しだけ心が軽くなった。
「ありがとうございます葉月さん、お陰でちょっと楽になりました」
「今ので?」
「葉月さんの塩対応が今の自分には丁度良かったみたいです」
「お前の場合は俺にいつも塩対応だけどな」
「ごもっとも」
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時