月恋 第124話 「知り合いがいる安心感」 ページ30
オーディションの結果は残念であったが、オーディションを受けたお陰で思わぬ仕事が舞い込んできた。
ヒロインではないけれど、その親友役の仕事がやって来たのだ。
「その仕事やります! 是非やらせてください!」
これは自分の知名度を上げる絶好のチャンスかもしれないと、私は黒月さんに食い気味でその仕事を受けると伝えた。
そして数日後、ドラマの撮影が始まったのである。
「宜しくお願いします」
スタッフさんやキャストの方達に挨拶をしてから撮影スタート。
ヒロイン役として受かったのは、笑顔が柔らかく、癒し系の雰囲気を持つ美少女若手女優さんであった。
確かに、癒し系のヒロインがイメージされていたのならば私は性格のキツイ親友役の方があっていたのだろう。
つり目でツンとした顔立ちのせいで、よく性格のキツイ子だと勘違いされるから。
「よろしくね、こよみん」
「はい、こちらこそお願いします!」
ヒロイン役の子に、にっこりと笑いかけられて思わず顔が熱くなる。
近くで見ると、本当に美少女だなァと実感させられた。
肌は真っ白で目はタレ目であるが大きく睫毛も長い。
出演者の殆どが有名な俳優さん、女優さん。
私、結構場違いなんじゃないかな?と今更自信をなくし、シュルシュルと縮こまってしまう。
そんな時である。
「おーい、何猫背になってんだよ」
「え、は、葉月さん?!」
背後から突然葉月さんに声を掛けられ、驚いて丸まっていた背筋が伸びた。
「な、何でここに?」
「驚かせようと思って言わなかったけど、俺にも出演オファー来てたんだよ。ヒロインをヒーローと奪い合うライバル役として」
「あ、なるほど、当て馬役。葉月さんにはピッタリな役ですね!」
「誰が当て馬役だ! ライバル! ライバル役って言え! 後、ピッタリってどういう意味だよ」
「え、だからチャラい葉月さんには当て馬役がお似―――痛い痛い痛い! ちょ、始さん直伝のアイアンクローはやめてください! イダダダダダダッ!」
「お前が悪いんだろうが」
葉月さんをからかうのは面白い。だが、まさか始さん直伝のアイアンクローが自分の頭めがけて飛んで来るとは予想外。
彼の大きな手にがしりと掴まれた私の頭は、メキメキメキッと音を立てて小さくなりそうだ。
けれど、この有名俳優さんや女優さんだらけの中に一人でも知り合いがいると言うのはとても安心出来る。
アイアンクローは痛かったけれど、葉月さんが居てくれて良かった。
月恋 第125話 「塩対応はいかがですか?」→←月恋 第123話 「ヒロインよりも」
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間！！！ - 続編おめでとうございます！これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年3月13日 2時
