月恋 第123話 「ヒロインよりも」 ページ29
オーディションに落ち、年少組の皆さんと目が腫れぼったくなってしまうくらい大泣きした翌日。
案の定、私と年少組の皆さんは目が少しだけ赤く腫れてしまっていた。
年長組、年中組も昨日の夜に事情を知り、何処かショックを受けた表情を浮かべていたが、今朝は何時も通りに私と接してくれている。
気を遣わせてしまったと、昨日の自分に反省しながら朝食の食パンを食べていく。
後もう少ししたら食べ終わるなという頃だ。
プロセラ共有ルームの外の廊下から、ドタドタドタッと言う足音が聞こえてきて勢い良く扉が開かれたと思ったら、息切れ切れの汗だく状態の黒月さんが突然入ってきた。
そして――――
「A、このドラマのヒロイン役じゃなくて、ヒロインの親友役としてオファーが来たぞ!!」
私がヒロインオーディションを受けたドラマの台本を片手に高くかざし、キラッキラの良い笑顔でそう告げたのである。
「はい?!」
食パンを漸く食べ終わった私は驚愕の声を上げて、思わず席から立ち上がる。
あまりにも勢い良く立ち過ぎて、ガゴッと鈍い音を立てて机に膝をぶつけたが、今はそんなこと気にしていられない。
確か、ヒロインの親友役と言えば私が何故かオーディションの日、他の人とは別に朏さんと芝居をさせられた「アカリ」のこと。
「あ、あれってそのため?!」
何故私が途中で芝居を止められ、突然ヒロインではなく、ヒロインの親友役を演じてみるように言われたのか漸くその意図が理解できた。
「え、Aちゃん、あれってどういうこと?」
私の隣に座っていた夜さんが不思議そうに首を傾げる。
「私、ヒロイン役の芝居をしている途中で朏さんに止められて、その親友役を突然演じてくれと言われたんです」
詰まり、私の演技を見てヒロインよりも「アカリ」の方が合っているかもしれないと思われたのだろう。
だから、途中で「アカリ」を演じろなんて無茶ぶりを言われたのかと、一人納得。
「み、朏さんに?!」
「そうなんですよ、夜さん。途中でその人に止められて凄く焦りました」
口を尖らせて私がそう言うと、夜さんは何処か感心したように私を見た。
「Aちゃん、本当に演技の才能あるかもしれないね」
――――それはどういうことですか、夜さん。
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間！！！ - 続編おめでとうございます！これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年3月13日 2時
