月恋 第122話 「大雨注意報」 ページ28
結果を聞いて、一気に緊張の糸が切れた。それと同時に、ダムが決壊したかの様に私の奥底から涙が溢れ出てきたのである。
頑張ったのに、皆さんにも折角応援してもらえたのに悔しい。
どうして私じゃダメだったのだろう。何がダメだったのだろうか。
そんな疑問が頭を覆い尽くし、悔しさが私を支配する。
今すぐにでも泣いて、誰かに抱き締めて貰いたい気持ちになった。けれど、此処で泣いてしまったら目の前にいる黒月さんや涙兄達を困らせてしまう様な気がした。
それにこれで終わった訳じゃない。まだまだ他にもドラマのオーディションはある。
少しでも売れる為に、どんなオーディションも受けてみよう。
大丈夫、また次頑張ろう。泣いて立ち止まるよりも、次のステップへ行った方が絶対に良い。
「分かりました。黒月さん、ありがとうございました。また他のオーディションを受けてみようと思います。次は必ず合格できる様に頑張りますね!」
もう目頭ぎりぎりまで迫ってきた涙を我慢して前を向いた。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら目元まで出てきてしまった涙をどうにかして乾かそうと下唇を強く噛み締めていると――――
「A、こういう時は我慢するな」
頭上から黒月さんの優しい声が聞こえてきて、遠慮がちにではあるが頭を撫でられ、その直ぐ次の瞬間、背後からギュウッと力強く涙兄に抱き締められた。
涙兄に続くようにして恋さんも駆兄も、郁兄も私の近くにやって来て「また頑張ろうね」、「今は存分に泣いて、次に行こう」って私よりも自分達の方が泣きそうな顔をして、必死に励まそうとしてくれたのだ。
なんだかそれが暖かくてくすぐったくて嬉しくて、でもオーディションに落ちてしまったことは凄く悲しくて、私の中にある感情がごちゃごちゃに絡まってほどけなくなって、更に涙腺を緩ませたのである。
「くやしい」
そう一言だけ呟き、後はもう自分でも訳が分からないくらい、わんわんと大泣きしたのであった。
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間！！！ - 続編おめでとうございます！これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年3月13日 2時
