月恋 第107話 「紅茶はいかがですか」 ページ13
グラビの共有ルームにて、私はすっかり逃げるのを諦め、弥生さんの淹れてくれた紅茶と睦月さんが買ってきたと言うケーキの甘い香りに包まれながら、年長組の皆さんとティータイム。
「あ、この紅茶おいしい」
弥生さんが淹れてくれた紅茶を一口。
口から舌へと流れ込んできた紅茶を飲み込むと、冷えた体が少しだけ温かくなったのを感じた。
それに、この紅茶は何時もスーパーで適当に買ってきた市販の紅茶よりもあっさりとした味わいで飲みやすい。
「Aちゃんのお口に合って良かった」
思わずと言った形で、ポロっと口から溢れ出てきた私の「おいしい」と言う一言を耳にし、弥生さんがふんわりと柔らかい笑顔を浮かべる。
その笑顔を見て私は、ああ、弥生さんのファンである方達はきっと、彼の全てを包み込むような優しい笑顔と穏やかな声に弱いんだろうな。なんて勝手に憶測を立てて、彼の人気の理由に一人で納得し、自己完結。
「この柑橘系の爽やかで甘い香りはニルギリかな?」
「そうそう、この前買ってきたばかりなんだ」
「ニルギリ」と言う聞き慣れない紅茶の名前が出てきた弥生さんと隼兄の会話に首を傾げる。
「ニルギリ?」
「南インドで生産されている紅茶で柑橘系のような香りと、すっきりとした味わいが特徴的な紅茶だ」
「そうそう、親しみやすい味だから女性に人気がある紅茶なんだよ」
「そ、そうなんですね。初めて聞きました」
睦月さんと弥生さんが的確な解説により、私の疑問は即解決。
さらっと紅茶の名前が出てきたり、サラッと説明が出来るのって何か格好良いなと感心しながら二人の説明になるほど、と頷いた。
紅茶の名前なんてダージリンかアップルティーくらいしか知らないし、飲んでもこの紅茶おいしいな、初めて飲む味だな、くらいしか考えない私とは大違いである。
「Aは紅茶だったら何が好きだ?」
「え、えっと、普段はアップルティーか市販で適当に買ってきた紅茶しか飲まないので、どれが好きかと言われると………」
「ああ、普通はそうだよな。俺も隼に紅茶を淹れるようになってから詳しくなったもんだしなァ」
「海さん………」
「お、どうした?」
「ありがとうございます!!」
「突然どうした?!」
海さんから投げ掛けられた突然の質問には困ったものの、そう言って明るく笑う彼に凄く親近感を覚えた。
月恋 第108話 「ハードルの上げ方」→←月恋 第106話 「強制連行」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間！！！ - 続編おめでとうございます！これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年3月13日 2時
