月恋 第100話 「二次審査」 ページ6
「え、受かった?! 私が?!」
あれから息切れ切れ、汗だくだくであった黒月さんに一先ず落ち着いて貰い、何が受かったのかを聞き、返ってきた答えに驚愕の声を私と黒月さんしか居ない共有ルームに響かせた。
何が受かったか。それは先日言っていた、連続テレビドラマの主役オーディションの書類審査。
それが受かったのだ。
「いやー、今日の朝早く、事務所のファックスに送られてきて俺も月城もびっくり。早くAに知らせたくて、そのまま車走らせて、寮まで来たって訳だ。」
冷たい緑茶を飲み干し、事務所の廊下から自分の車を置いた駐車場まで全力ダッシュするだけでも暑いな、とワイシャツの襟元をパタパタ扇ぎながら笑う黒月さんに唖然とする私。
私が受けた連続テレビドラマ。そのお話を作った脚本家はかなりの売れっ子。
その脚本家が手掛けたドラマに出て、一気に人気を獲得した芸能人達が何人居たことか。
だからだろうか、此れを機にドラマの主役をゲットして芸能界で一旗揚げようと、こぞって新人の女優さんや女性アイドルがこのオーディションに応募していた。
詰まり、他のドラマのオーディションよりも受かる確率が確実に低かったのである。
書類審査で泣くか笑うか、私は恐らく泣く側の方だろうと勝手に予想していた。
だって、応募した中に最近話題沸騰中の若手女優さんの名前が何人かあったから。実力も知名度も低い私が敵いっこない、そう思っていた矢先に奇跡とも思える出来事が起こった。
今年の運を使い果たして、明日死ぬんじゃないかな?なんて思ってしまうくらいの奇跡である。
「A、次は二次審査の面接だ。ツキウタ。宣伝アイドルオーディション時のお前を見る限り、余り心配はしていないがちゃんと練習しておこうな?」
「はい!」
「後、ちょっとした芝居もやらなきゃいけないみたいだから、それも練習しよう。分からないことがあれば、俺や月城は勿論、演技に詳しい夜辺りに聞いてくれ。全力で力になる」
次の審査で主役が決まる。
「はい、ありがとうございます!」
緊張する私の頭をガシガシと力強く撫で、明るい笑顔を見せてくれる黒月さんに少しだけ心が和らいだ。
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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時