月恋 第120話 「緊張する」 ページ26
それからオーディションは私がヒロインではなく、その親友役を演じたこと以外何事もなく終わった。
一体全体、あれは何だったのだろうか。折角、夜さん達にアドバイスを貰いながら練習してきたのになァと、理由が分からずモヤモヤしたままである。
不完全燃焼のまま日にちが経ち、遂にオーディション結果が発表される日。
私は学校が終わった後、寮で大人しく黒月さんからの連絡を待っていた。
「A、大丈夫?」
結果が気になって気になって仕方なくて、どうにも落ち着かず、そわそわしてしまっている私を涙兄が心配する。
此方を気にかけてくれている涙兄も、何処か落ち着かない様子で居た。
「す、すみません涙兄。何だか、緊張してしまって」
「Aにとって、初めてのオーディションだもんね」
プロセラ共有ルームで涙兄と一緒におやつを食べに来た駆兄が、私を安心させる様にニコニコ笑いながらお茶を淹れてくれるも、彼も私につられて緊張しているのか、コップに注ぐポットの手が震えてビチャビチャとお茶が溢れてしまっている。
「駆さん、お茶が溢れてる」
「そう言う恋だって、漫画逆さまに読んでるよ。後、郁は?」
「いっくん、落ち着かないからって走りに行っちゃった」
お茶を溢す駆兄に的確なツッコミを入れる恋さんもまた、読んでいる漫画が逆さまになっているし、郁兄なんて待っている時間が緊張するからと外にランニングしに行ってしまったのだ。
正直言って、私よりも年少組の皆さんの方がオーディションの結果を気にして緊張している。
心配して、気にしてくれるのは大変嬉しいのだが、そんな皆さんにつられて更に私の緊張は増すばかり。
「か、駆兄ィ、緊張するよー!!」
緊迫した空気に耐えられず、それをぶち壊すかの様にして私は駆兄に抱きついた。
グラビやプロセラの皆さんと比べると小柄だが、確実に私よりも大きい駆兄。
「俺も緊張する!!」と言って、すっぽりと私の体を両腕で包み込み、抱き締め返してくれた。
そんな時である。
「ただいまー!」
ガチャリとプロセラの共有ルームの扉が開き、やっと走り終わって帰って来た郁兄と―――
「Aはいるか?」
神妙な顔つきの黒月さんがやって来たのである。
月恋 第121話 「真っ直ぐな光」→←月恋 第119話 「焚き付けてしまった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間！！！ - 続編おめでとうございます！これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年3月13日 2時
