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月恋 第117話 「緑茶と紅茶」 ページ23

「ハートがキュンと来てドッコイショー………」

俺の目の前で机に突っ伏し、エイプリルフール限定ヒーローの決め台詞を呟き、疲れきっているAちゃん。

随分と長いこと練習をしていたなと、壁に掛けられている時計を眺める。

一緒に練習をしていて思った。彼女は筋が良い。だから、色んな舞台に出演して経験を積んでいけば、もっともっと演技力が向上し、芝居が良くなっていく筈だ。

「今日はこれで終わりにしようか。また何かあったら、何時でも言ってね?」

「ありがとうございました」

ふぎゅー、と可愛らしい呻き声を上げながら机に突っ伏し、ぐったりしたままで居る彼女の頭を優しく撫でてから俺はその場から立ち上がり、二人分のお茶を淹れに行った。

「Aちゃん、緑茶か紅茶、どっちが良い?」

「あ、すみません夜さん。私もやります」

「大丈夫だから、Aちゃんはゆっくり休んでて良いよ」

慌てて立ち上がろうとする彼女をにっこりと笑って制止する。

「えっと、じゃあ、緑茶をお願いします」

「はーい」

いつの間にか夜さん呼びになっていることに内心喜びつつ、ポットとコップを用意する。

Aちゃんは紅茶より緑茶派なのかな?

どちらかと言うと、よく緑茶を飲んでいる姿を見掛けるから。

Aちゃんはお芝居に入り込み、かなりの体力を使ったのか、うとうと、頭を前に小刻みに振って船漕ぎをしだす。

余程疲れたのだろう。

役に成りきり、感情を表に出すのはとても体力が要る。

「頑張って、Aちゃん!」

学業に部活にアイドル活動、やることは沢山あって大変かもしれないけれど、それでもめげずに自分の才能を此の芸能界で開花させて欲しい。

そんな思いを込めて、今にも眠ってしまいそうな彼女に小さくエールを送った。

結局、体力の限界を迎えたAちゃんは夕飯の時間までぐっすり眠ってしまい、お茶は冷めてしまったけれど、一眠りした彼女は何処かすっきりとした表情をしていて安心した。

月恋 第118話 「理解が追い付かない」→←月恋 第116話 「役を憑依させる」



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櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時

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