月恋 第113話 「真面目に不真面目」 ページ19
「そう言えば、新さんって夢見草で舞台経験がありますよね?」
「ああ」
新さんとのんびりお茶を飲みながら、ちょこちょこ話しつつお互い好きなことをしていてふと思い出す。
新さんは新撰組を題材にした舞台、「夢見草」で沖田総司役として主演を務めている。
先日、夢見草のDVDを少しずつ貯めに貯めて漸く貯まったお給料で購入するべく、昨日、某Webサービス会社の宅配に予約をした。
「昨日DVDを予約したばかりで、まだ観れてないんですけど、沖田総司役を演じるときに何か意識したこととかありますか? 出来れば芝居に関するアドバイスが欲しくて……色々教えてくれませんか?」
まだ観れてはいないが、芝居経験者として、事務所の先輩として何かアドバイスを貰おうと訪たが―――
「え、お前買ったの? あの高いDVDを?」
芝居について教えて欲しいと言う私の頼みよりも、夢見草のDVDを購入したことに何よりも驚く新さん。
え、そこ? 貴方が一番の反応するとこはそこなの?と思わずツッコミたくなった。
「言ってくれれば、事務所に頼んでサンプル渡したんだけど?」
そしてどんどん新さんのペースに巻き込まれて、話が脱線していく。
ああ、芝居のことから話題が離れていく。だが、新さんの話に答えないわけにもいかない。
「いや、それをしてしまったら意味ないかと思いまして」
確かに!確かに無料で貰えるのは嬉しいし、ちょっとどころかかなり心が揺らいだけれど関係者手配で手に入れたくない理由がある。
「幾ら私がツキウタ。企画の関係者であったとしても、ファンの方と同じ立場になって、ちゃんとコツコツお金を貯めて購入した方が良いと思うんです」
「ほー、その心は?」
新さんは感心の声を上げ、ちょっと楽しそう。
一体何が楽しいのか、首を傾げつつ答える。
「ツキウタ。宣伝アイドルとして、ファンの皆さんの気持ちに寄り添うべきかと。だから、ファンとしてグッズを集めたりDVDを集める大変さもちゃんと経験しようと思ったんです」
すると新さんは、フハッと小さくて笑いを溢し、急にどうしたことやら私の頭をわしゃわしゃ乱雑に撫でてきた。
一体なんなんだろうか。
「そんな真面目なAくんに俺からちょっとしたアドバイスをあげようではないか」
「真面目?!」
何処をどう見たら私が真面目だと言うのか。突然の真面目発言に驚くしかない。
新さんの言動が謎過ぎてよく分からない今日この頃。
―――言っておくが、私は真面目ではない筈だ。
月恋 第114話 「只今反省中」→←月恋 第112話 「参考書と小説と証拠」
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが頑張ります。これからもこのお話を宜しくお願いします。 (2018年3月21日 12時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き人間!!! - 続編おめでとうございます!これからの夢主ちゃんの成長が楽しみですね!!!更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月21日 11時) (レス) id: 6896f5a2c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年3月13日 2時