月恋 第80話 「大変失礼ながら」 ページ33
「つ、疲れた………」
収録が終わる頃、私は全力を使い切り、現場に用意されていた折り畳みのパイプ椅子にぐったりと座っていた。
常にマイペースで我が道を貫き通す卯月さんと、優雅に見えながらも始クラスタ全開で何時にも増してテンションの高い魔王様のコンビは或る意味最強。
収録中も卯月さんは安定の勢い芸で場を押し通そうとするし、隼兄に至っては魔界の謎生物を召喚しようとしていたのである。
頑張って一つ一つ、二人のボケにツッコんで行くものの、ツッコミ切れず収録後半、気が付いたらツッコむのを放棄していたのだ。
「Aったら酷いじゃないか。僕がゲストだって分かった途端、ものすごーく嫌な顔をするだなんて。隼さん、傷ついちゃうなァ」
パイプ椅子に座る私の頬を、「傷ついちゃうなァ」と言ってる割にはにこやか笑顔のやけに上機嫌でつついてくる隼兄。
何故彼が何時にも増して上機嫌なのか。その理由はとても単純なもの。
彼が上機嫌なのは、テレビで睦月さんの魅力をこと細やかに語れた事と、収録現場に張られていた睦月さんの等身大ポスターを記念に貰えたから。
私も愛さんの等身大ポスター欲しいなァ、なんて考えながら大人しく隼兄に頬をつつかれ続けていると―――
「おー、Aお疲れさん」
「ヒッ!」
首筋に突然冷たい何かをくっつけられ、思わず小さな悲鳴を上げる。
何事かと、椅子に座ったまま後ろを振り向くと、安定のイチゴ牛乳を右手に、珍しくペットボトルの冷たい緑茶と午前の紅茶を左手に持った卯月さんの姿があった。
恐らく、首筋に当てられた冷たい何かはこの卯月さんの左手にある冷たい緑茶か、午前の紅茶のどちらか。
「ほら」
首筋にまだ冷たい感触が残る中、卯月さんに冷たい緑茶を差し出された。
「はい?」
どういう事ですか?と聞きたげに首を傾げると、卯月さんはそれに答える様にして、表情を一切変えずに口を開く。
「優しい優しい新お兄さんからの奢り。お前、収録中ずっと喋りまくってて喉カラカラだろ?
水分補給しないと脱水症状になって倒れるって、春さんか葵に怒られるぞ?」
確かに収録中、休む間もなくひっきりなしに隼兄と卯月さんにツッコミを入れながら番組を進行していた所為か、喉がカラカラだ。
後で飲み物を会いに行こうと思っていたが、真逆、卯月さんが買って来て下さるとは、失礼ながら大変予想外である。
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櫻餅(プロフ) - リュウヤさん» こんにちは。コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです。これからもこの夢小説をぜひ宜しくお願いします。 (2018年3月27日 23時) (
レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています。ヒロインちゃんと始さんのやりとりに、涙ぐんでしまいました。みんなが温かくて、素敵な作品をありがとうございます。続編も引き続き、追いかけさせていただきます！ (2018年3月26日 8時) (レス) id: 707d2de435 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» こんばんは。コメントありがとうございますm(__)mそう言って頂けて大変嬉しく思います。不定期更新ですが頑張ります！ (2018年2月9日 21時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんばんわ。ヒロインちゃん、憧れの愛ちゃんに会えて良かったですね。いつも一生懸命な彼女に元気を貰ってます。これからも頑張って下さい！ (2018年2月9日 18時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間！！！さん» コメント有難う御座いますm(_ _)mこれからも不定期更新ですが、頑張っていきたいと思います。 (2018年1月10日 4時) (レス) id: d35033e969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年12月26日 23時
