月恋 第62話 「デビュー曲」 ページ15
「良いんじゃないか?」
「へいッ?!」
「―――連続テレビドラマの主役オーディションを受けてみたいです」、用件を伝えて数秒後、黒月さんから返ってきた返事は何ともあっさりしていた。
もっと、演技経験の無い私には無理だ的なことを言われるかと身構えていたが、それを聞いて一気に全身の力が抜けていく。
「いや、この前社長や月城を交えて、Aにもっと此の世界で色んな経験をさせてやりたいなって言う話をしていたんだよ」
「そう、だったんですね」
否定的な返答を予想していた私にとって、その話はとても目頭を熱くさせる様なものであった。
ちゃんと、私の事について考えてくれる人が此処には居る。そう思うと、嬉しくて仕方がない。
思わず頬が緩んだ。
「じゃあ、詳しいことは明日話し合おう。丁度、Aのデビュー曲について知らせたいことがあったからな」
「はい、宜しく御願いします」
デビュー曲と聞いて、私は更に心を躍らせる。
やっと私にも曲が出来る。やっとアイドルらしい活動が出来るし、答えを探す範囲が広まった気がするのだ。
黒月さんに明日話し合う時間と場所を教えてもらい、お礼を言ってから電話を切った。
電話を切った後、喜びのあまりその場でガッツポーズ。それを微笑ましそうに眺める長月さんと、小さく拍手をしてくれる水無月さん。
「A、頑張ってねオーディション。応援してる」
隣に座っていた水無月さんに柔らかく、少し遠慮がちに頭を撫でられる。
水無月さんなりの応援の仕方にほっこり癒されつつ、他にやるべきことを思いだし次の行動に移ろうとした時だ。
「Aちゃん」
不意に真面目な表情を浮かべた長月さんに呼び止められた。
「Aちゃんは演劇経験ある?」
「い、いえ、ありません。これが初めてです」
余りにも真剣な眼差しで私を見詰めてくる為、自然と全身に力が入り再び緊張感に襲われる。
矢張り、私には無理なのだろうか。と言う不安に駆られながらも、長月さんの次の言葉を待つ。
「そっか。台詞の間合いとか、表情と声の作り方とか、分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。俺、ドラマや舞台にちょくちょく出てるから、ちょっとしたアドバイス位なら出来ると思う」
長月さんの話を耳にし、そう言えばと思い出す。彼を何度か舞台の宣伝や、ちょくちょく見ていた月9等で見たことがあった。
「ありがとうございます!」
「頑張って!俺も全力で応援する」
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櫻餅(プロフ) - リュウヤさん» こんにちは。コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです。これからもこの夢小説をぜひ宜しくお願いします。 (2018年3月27日 23時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています。ヒロインちゃんと始さんのやりとりに、涙ぐんでしまいました。みんなが温かくて、素敵な作品をありがとうございます。続編も引き続き、追いかけさせていただきます! (2018年3月26日 8時) (レス) id: 707d2de435 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» こんばんは。コメントありがとうございますm(__)mそう言って頂けて大変嬉しく思います。不定期更新ですが頑張ります! (2018年2月9日 21時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんばんわ。ヒロインちゃん、憧れの愛ちゃんに会えて良かったですね。いつも一生懸命な彼女に元気を貰ってます。これからも頑張って下さい! (2018年2月9日 18時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 2次元大好き人間!!!さん» コメント有難う御座いますm(_ _)mこれからも不定期更新ですが、頑張っていきたいと思います。 (2018年1月10日 4時) (レス) id: d35033e969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年12月26日 23時