七光りだなんて言わないでもらえます?!3 ページ9
――――大した才能もないくせに。
――――身内の七光り。
――――コネで売れようとする卑怯者。
なんだかそう言われているような気がして。違うと叫びたいのに、声が震えて上手く出てこない。
どうしよう、と焦ってそのまま言葉に詰まってしまっていれば……
「ブッブー!恋くん残念、不正解!」
突然、月野社長が私を背に庇うようにして前へと出てきた。
「あ、違うんですか?!」
「うん、全然違うよー。僕とAちゃんの出会いは完全なる偶然……否、運命の導きだからね!あと、そういう言い方はAちゃんに失礼だからやめようね!」
「ごめんなさい!俺、そういう意味で言った訳じゃないんです」
如月さんが先程の自分の発言を振り返り、慌てて此方に頭を下げて来た。
「あの、頭を上げてください!そう誤解されるのも仕方ないことですから」
「いえ、でも……」
「大丈夫です。ただ、二人と兄妹であることはここだけの秘密にしてもらいたいです。そういう勘違いをする人は結構いますから」
「はい!ぜったい内緒にします!」
如月さんの力強い返事を聞いて一安心。
身内の七光り等と噂されてはたまったものじゃない、と他の皆さんにも同じようにお願いすれば快く頷いてくれた。
「あ、そうだ!Aちゃん、保護者さんからサインはちゃんと貰えたかな?」
重たくなってしまった空気を取り払うように、月野社長は話題をぐるりと変えた。
「はい、貰えました」
ごそごそ、鞄の中から先日渡された契約に必要な書類を取り出した。その書類の保護者欄には、朝日奈 雅臣と柔らかい字で署名がしてある。
未成年である私がアイドルデビューするために、保護者の許可は必要不可欠。ということで、仕事で常に不在の養母、朝日奈 美和ちゃんの代わりに朝日奈家長男の雅臣くんと次男の右京くんに相談したところ、右京くんからは不器用な私には学校と芸能活動の両立は難しいのではないかと心配されたうえに反対されてしまった。
だが、雅臣くんがそんな右京くんを「Aの好きにさせてあげよう」と一緒になって説得してくれたお陰でなんとか署名を貰えたのであった。
乙葉は人気女優として多忙な身でありながらも、学校の成績は常に首席をキープ。加えて、料理も得意で時間がある日は必ず右京くんとともにキッチンへと立っている出来た姉だ。そんな姉と勉強も料理も苦手な私をつい比較して心配する右京くんの気持ちも分かる。
私は姉と違って、出来が悪いから……。
穢れた私と綺麗な私……捨てるべき私はどちらでしょう?→←七光りだなんて言わないでもらえます?!2
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snow(プロフ) - 勉強など大変だと思いますが、頑張って下さい!長々とすみません。それでは、またの更新楽しみにしてます♪ (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 乙葉さんが、優しいのか判らないけど、配慮が欠けて見える気がします。私は、空君みたいにヒロインちゃんを応援してくれる人は、実は結構いると思います。だから、やりたいことをやったもん勝ちだと言う、勇気100%の言葉を贈ります。 (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪久々の更新、待ってました!ヒロインちゃんは、大器晩成の努力家なんだと思います。少しずつ、成果が出ればと思います。努力は決して、無駄にはならないと思います。今は、冬の様に辛くても、いつかは春の様に花開くと信じてます。 (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - しゅるさん» こんにちは。ご指摘ありがとうございます。 (2021年12月17日 9時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - こんにちは。あ、あの、『結局、折れた結果がこれである』に出てきた黒月さんは、Procellarumのマネージャーですよ…今さらですみません!細かいですけど、ツキウタ。ファンなので…とても面白い話で楽しく読んでます!無理のない更新を頑張ってください! (2021年12月12日 10時) (レス) @page5 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2021年11月30日 10時