これはお仕事だから大丈夫、と思っていた私が間違っていた。 ページ23
本当は、猫が苦手であることを正直に伝えてしまおうかと思ったのだが、アニマルズの一員であるヤマトを紹介してくれた如月さんと師走さん、神無月さん、水無月さんの嬉しそうな笑顔に負けて黙ったよね。
私には無理。
あの笑顔を崩すことなんて出来なかった。という訳で今さら、実は猫が苦手なんですー!てへっ!とも言い出せず。
いつもの笑顔を貼り付けて、黒色の子猫とねこじゃらしで遊ぶ睦月さんのとなりに座り、自分の手にすり寄ってきた白猫を撫でてみるも手の震えが止まらない。
ふわふわもふもふの毛玉たちが私に襲いかかり、発狂寸前。でもこれはお仕事。私が売れるために必要なお仕事だと脳に言い聞かせながら、平常心を保つ。
「すみません、少しカメラをとめてもらえますか?」
おっしごとおっしごとたのしいなー!!!ファー!!!
表に出せない分、心のなかで発狂しながら撮影を進めていれば突然、睦月さんが撮影してくれていたスタッフさんにストップをかけた。
「あの、えっと、何かありましたか?」
「顔色が悪い。少し休め」
そう言って、戸惑うばかりの私の腕をつかんだ睦月さんに驚きを隠せない。
なんで?どうして分かったの?
完璧に隠していたつもりなのに。
カメラが止まったことを良いことに、貼り付けた笑顔を崩して訳がわからないという顔をする私に睦月さんはまるで不安がる小さな子供を安心させるような柔らかい表情を見せてきた。
「安心しろ。撮影をする時間はまだたくさんある」
周りに年下が多いから、癖になっているのだろうか。再び私の頭をわしゃわしゃと撫でたかと思えば優しい声で、ゆっくりで大丈夫だ、と励ましてくれた。そんな彼に、気を遣わせてしまったと私は強い罪悪感を覚えたのであった。
勝手に嘘をついて、勝手に体調が悪くなっただけなのに、と。
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snow(プロフ) - 勉強など大変だと思いますが、頑張って下さい!長々とすみません。それでは、またの更新楽しみにしてます♪ (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 乙葉さんが、優しいのか判らないけど、配慮が欠けて見える気がします。私は、空君みたいにヒロインちゃんを応援してくれる人は、実は結構いると思います。だから、やりたいことをやったもん勝ちだと言う、勇気100%の言葉を贈ります。 (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪久々の更新、待ってました!ヒロインちゃんは、大器晩成の努力家なんだと思います。少しずつ、成果が出ればと思います。努力は決して、無駄にはならないと思います。今は、冬の様に辛くても、いつかは春の様に花開くと信じてます。 (2023年3月27日 13時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - しゅるさん» こんにちは。ご指摘ありがとうございます。 (2021年12月17日 9時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - こんにちは。あ、あの、『結局、折れた結果がこれである』に出てきた黒月さんは、Procellarumのマネージャーですよ…今さらですみません!細かいですけど、ツキウタ。ファンなので…とても面白い話で楽しく読んでます!無理のない更新を頑張ってください! (2021年12月12日 10時) (レス) @page5 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2021年11月30日 10時