永遠の二番手によるヒロインポジション略奪計画

いい加減にしろこのオープンスケベ！ ページ15

「今日からよろしくお願い致します」

渋谷にあるツキノ寮のグラビ共有ルームにて。

一人の少女が俺たちに向かって深々と頭を下げる。丁寧な言葉遣いに上品な仕草。そして、その礼儀正しさに感心しながら、俺たちがそれぞれ挨拶を返せば、彼女は嬉しそうに頭を上げて華やかな笑顔を浮かべた。

艶やかな黒髪と右目下の泣きぼくろが可愛らしい朝日奈 Aちゃんは、今度からツキノ芸能プロダクション所属のアイドルとしてデビューすることが決定している俺たちの後輩であり、今日から同じ寮で生活することになった仲間である。

あの清純派女優で有名な朝倉 乙葉さんの双子の妹さんであると聞いたときにはとても驚いた。

なぜなら彼女が、大人びた雰囲気を持ちながらも、いやらしさのない清楚で可憐なお姉さんとは対照的な容姿の持ち主だったからだ。

あどけない顔立ちに、何処か蠱惑的な雰囲気を纏う美しい少女。

双子の姉妹にしてはどうにも似ていないな、と思っていたのだが、彼女がさきほど浮かべた笑顔はお姉さんとそっくりで。流石は姉妹と言うべきなのだが、何やらそれに違和感を覚えて首をかしげる。

「葵、どうかしたのか？」

隣にいた新に問われるも、その違和感の正体がはっきりと説明出来ず。なんでもない、と違和感を振り払うように首を横へと振った。

彼女の笑顔が一瞬だけ、自然体とは程遠い作り物のような笑顔に見えたのはきっと俺の気のせいだろう。

「ふむ、胸はないが美脚ときたか……あの真っ白な足にはニーハイがよく似合いそうだ」
「新！」

制服の下からすらりと伸びた彼女の真っ白な足に釘付けとなり、暴走し始めるオープンスケベな幼馴染みの頭へと軽く手刀を落とす。

違和感云々のまえに、幼馴染みが、折角出来た可愛い後輩に初日から早々、あまりの変態っぷりにドン引きされるという最悪な未来をなんとしてでも阻止せねばと俺は意気込んだ。

「んー、どっちかっていうと黒タイツじゃね？」
「陽、いい加減にしないと怒るよ？！」

けれど、新を挟んで隣にいたプロセラの年中コンビから、同じような会話が聞こえてきて俺は頭を抱えることになるのであった。

私は一体、誰になろうとしているの？→←主役はいつも通りで物語が進んでいく

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