ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ45)

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話題の中心人物は結構すぐ近くにいたりする。ページ45

「花江さん、なにを聞いていらっしゃるんですか？」

珍しく、仕事の休憩中に花江さんがスマホを取り出して音楽を聞いていたものだからつい気になって尋ねてみた。だがしかしその数秒後、私は自分の問い掛けに後悔することとなった。

「ミケちゃんって、YouTubeとか見る？」
「え、あ、はい……少しだけなら」
「実は、最近話題になってる歌い手さんにちょっとハマっちゃったんだよね」

そう言いながら、少し照れ臭そうに頬をかいて見せてくれたのは私が歌った「紅蓮華」の動画だった。

「もちろん、LiSAさんのも好きなんだけど、この人の歌声が凄く気に入っちゃって」
「あ、え、そ、そうなんですね……」

自分が主役を演じているアニメの主題歌。その歌ってみたが話題になっていたから、少しだけ聞いてみたところ、ものの見事にハマってしまったらしい。しかし、歌った張本人である私はそう言ってくれている彼に対してどう反応すれば良いのか分からなかった。

どうも、声優陣の間でも私の投稿が話題になっているらしく。行く先々で、歌ってみたの話が耳に入るものだからもう恥ずかしいのなんの。

絶対バレないとは思うけれど、どうかこの歌い手の主が私だとバレませんように、と心のなかで強く願っていたのだが久野ちゃんと真綾さんには光の速さでバレた。

「Aちゃんの歌声を、私が分からないわけないでしょう？」

上手になったね、と頭を撫でながら優しく微笑んで応援してくれた真綾さんも、

「Aちゃんの歌声、大好きだからすぐ分かっちゃった！」

と嬉しそうに報告して、真綾さんと同じように応援してくれた久野ちゃんは女神である。